STEP9【IPO】役員構成の整備開始

今回の内容

今回は、株式場(IPO)に向けたロードマップの【STEP9】となります。
経営者として「株式上場の進め方」についてのイメージをつかんでいきましょう。

 

社外役員について

今回は、
「【STEP9】 役員構成の整備開始」
というテーマでお伝えしたいと思います。

IPOを目指すうえで役員構成の整備は重要なテーマですが、
そのなかでも「社外役員の選任」については、
よく聞かれる質問であるため、この点について、
今回は簡単にまとめておきたいと思います。

 

具体的には、
———————————-
①社外役員は必要なの?必要な場合、何人必要なの?
②どのような人を社外役員に選任すればよいの?
③いつまでに社外役員を選任すればよいの?
④社外役員への報酬はいくらくらいなの?
———————————-
といった点について、
以下に記載をしていきたいと思っています。

 

社外役員は必要なの?

IPOを前提とすると
社外役員は必要となってきます。

IPO準備に入ると、
基本的には上場会社と同じ体制の整備が
求められるからです。

 

上場会社においては、
社外取締役の選任を義務化すべきかどうか、
議論が続いてきましたが、取引所等の要請もあり、
社外取締役を最低1名は選任していることが通常です。

また、最近の会社法改正では、
上場会社の社外取締役選任が義務化されたこともあり、
基本的には、IPOを前提とすると、
社外取締役を少なくとも1名選任する必要があるでしょう。

 

ちなみに、社外取締役には要件があります。
あまりにも近すぎる者だと要件を満たさない可能性もあるため、
きちんと要件を満たすかどうかは事前に注意が必要です。

たとえば、
——————————————
①就任前10年間業務執行取締役等ではない
②大株主、親会社の取締役・執行役・支配人その他の使用人ではない
③取締役等の重要な使用人・大株主の配偶者・2親等以内の親族でない
——————————————
といったような要件を満たす必要があります。

 

つまり、会社経営陣からの独立性が不十分な者や
親会社・大株主に近い者を除外したうえで、
一定の独立性を有することを社外取締役の要件としています。

 

また、社外取締役だけでなく、
監査役についても社外監査役を選任する必要があります。

IPOを前提とすると、
監査役については監査役会を構成して、
3名以上の監査役を確保する必要があります。

そして、そのうち過半数を
社外監査役にする必要があるため、
最低でも2名の社外監査役が必要になります。

 

そう考えると、
最低限の社外役員の人数として
——————-
・社外取締役1名
・社外監査役2名
——————-
の確保は必要なります。

 

どのような人を選任すればよいの?

それでは、どのような人を
社外役員として選任すればよいのでしょうか?

まずは、形式面で、
「社外」の要件を満たす必要があるのは大前提ですが、
そのうえで、どのような人選がよいのでしょうか。

 

この点についてですが、
社外取締役と社外監査役によって、
少し考え方は変わってくると思います。

 

まず「社外監査役」については、
取締役を監督する立場という特性もあり、
いわゆる「専門家」職の方が就任するケースが多いです。

たとえば、
———————-
・弁護士(法律面に強い)
・会計士(会計面に強い)
・税理士(税務面に強い)
———————-
といった感じです。

 

よくあるパターンとして、
弁護士と会計士を社外監査役に迎えることで、
法律面と会計面をカバーする形です。

この形であれば、
上場時の審査においても、
基本的に問題になることはないでしょう。

 

ただ、注意が必要な点として、
社外監査役なので、基本的な独立性は必要です。

顧問弁護士や顧問税理士といった
身近な専門家を社外監査役にしようと思うと、
独立性の点で社外要件を満たさなかったり、
証券会社等にNGを出されたりしますので。

 

次に「社外取締役」です。

こちらについては、
先ほどの社外監査役の場合と同じように
弁護士や会計士が選任されているケースもありますが、
どちらかというと、経営のスペシャリストとか、
その業界に詳しい大御所とかが選任されるケースの方が多いと思います。

社外とはいえ「取締役」であるため、
慎重な人選が必要なのは確かです。

 

ただ、経営者として、
一緒に経営判断をしてもらいたい人物となると、
ある程度、候補は絞られてくると思いますので、
そのような候補者は経験豊富な方が多いと思いますので、
基本的には社長の判断で良いかと思います。

いずれにしても、
社外取締役、社外監査役を選任する場合には、
・「社外」としての形式的な要件を満たしているか
・上場審査時に問題にならない人物か
といった点は注意が必要なので、
証券会社のアドバイスももらいながら進めていく形だと思います。

 

いつまでに選任すればよいの?

次に、いつまでに社外役員を選任すればよいのか、
という点についてですが、
基本的には「直前期」「直前々期」の2期間は、
上場時と同じような体制を求められるため、
上場予定日の3年前くらいには選任手続きを進めたいところです。

実際には、
3名予定しているうちの残り1名がまだ決まらず、
「直前々期」に入ることはあるかもしれませんが、
少なくとも「直前期」に入る前には、
上場時を意識した体制が必須になるかと思います。

 

そう考えると、
IPOを意識し始めた頃には、
社外役員探しにも手を付け始める必要が
あるのではないかと思います。

 

また、社外役員に限らない話として、
結構苦労するのが、
「常勤監査役」
を探すことです。

IPOを前提とすると、
「常勤監査役」が必要になるのですが、
このポストは誰でも良いというわけではありません。

ある程度、経験豊富で、
会社のこともわかり、ビジネスのこともわかり、かつ、
会計や法律も最低限わかっているような人物が求められます。

 

ただ、このような人物を
「常勤」
として探してくるのは意外と難しいです。

なぜかというと、
常勤監査役にそれほど報酬を支払えない、
という会社が多いのですが、
一方で、上記のような経験豊富な人物を
常勤で拘束しようと思うと、
それなりの報酬を提示しないと引き受けてくれないからです。

 

ちなみに、常勤監査役は、
社内でも社外でもよいのですが、
社内には一般的にそのような候補者がいないことも多く、
結局、外部から探してくる形になると思います。

 

おそらくではありますが、
IPOを目指す会社が悩む役員問題のなかで、
一番悩むのが「常勤監査役」の選任かと思います。
最後まで、ここの選任に苦労している会社を
私自身も、結構見てきました。

そのため、早めに、
常勤監査役候補を探す作業も
進めた方が良いと思います。

 

社外役員への報酬はいくらくらいなの?

最後に、気になるところかと思いますが、
社外役員への報酬はいくらくらいになるのか、
という点です。

上場して会社規模も大きくなると、
当然、社外役員に対する役員報酬も
それなりに高くなる傾向があります。

 

但し、IPO準備会社となると、
おそらくですが、
————————-
月額10万円~月額30万円
————————-
のレンジの相場観なのではないかと思います。

 

このあたりで提示すれば、
高すぎず、安すぎずといった感じでしょうか。

当然、会社の規模感や
求められる役割や拘束される時間等により、
様々かと思いますので、あくまで参考までに。

 

ベンチャー企業だと、
なかなか社外役員に報酬を支払うのを
ためらわれるケースもあるかと思いますが、
IPOを目指す時点で、そこは受け入れるしかないでしょう。

変な人が社外役員になると、
それはそれで、その後が大変になりますので、
信頼できる人物に、適正な報酬を提示して、
逆に、いろいろとアドバイスをもらうくらいの気持ちで
社外役員を選任していただくのが良いかと思います。

 

最後に

本日は、
「【STEP9】 役員構成の整備開始」
というテーマでお伝えさせていただきました。

 

私自身は、30歳のときに、
上場会社の社外監査役に選任されましたが、
それから10年ちょっと経過して、40歳を過ぎましたたが、
選任されている社外役員の社数も気づけばかなり増えてきました。

ちなみに、私は会計士・税理士の資格があるため、
「社外取締役」としての打診はほとんどなく、
「社外監査役」としての打診が圧倒的に多いです。

 

いろいろな会社の社外役員を経験してきましたが、
会社ごとに社風は異なりますし、役員会の進め方も様々です。

ただ、社外役員側の立場として思うのは、
やはり経営者との信頼関係を築けるかどうかが重要だと、
最近は改めて感じています。

 

社外役員も立場上、
いろいろと言わないといけない場面もあり、
経営者としても、面倒くさいと感じることもきっとあると思いますが、
そのベースに経営陣との信頼関係があれば、
逆に良いアドバイスとして活用できる面もあると思います。

是非、経営者として、
信頼関係を構築できる社外役員かどうか、
という点を意識しながら人選をしていただければと思います。

 

今回の内容