記事一覧

STEP1【IPO】事業計画・コーポレートストーリーの作成

  • 2020.8.12

今回の内容

今回は、株式場(IPO)に向けたロードマップの【STEP1】となります。
経営者として「株式上場の進め方」についてのイメージをつかんでいきましょう。

 

事業計画・コーポレートストーリー

「事業計画を作りたいのですが、
  どのように作成すればよいでしょうか?」
「事業計画の作成の支援をお願いできますか?」

このようなご要望は意外と多くいただきます。

 

慣れた会社であれば、
自社でサクサク作成されるのですが、
今まで作成したことが無い会社の場合には、
最初は結構悩まれるようです。

とくに、「数値編」については、
自社では作成が難しいとのお話をよく聞きます。

 

事業計画は、IPOに関らず、
とても重要なテーマではありますが、
IPOを考えるうえでは、より重要度が増します。

投資家に自社を理解してもらうためには、
自社の状況を知ってもらう必要がありますので。

 

そこで、今回はIPOを前提とする際に、
「【STEP1】 事業計画・コーポレートストーリーの作成」
についてお伝えをしたいと思います。

 

作業の手順

事業計画を作成する方法は、
会社で様々ではあると思います。

ただ、何から手をつければよいかわからず、
とくに「型」がないようであれば、
よく言われているような分析をしてみることから、
とりあえず始めてみると前に進めるのではないかと思います。

 

具体的には、以下のような手順で、
進めてみてはいかがでしょうか?

———————————————
①とりあえず「SWOT分析」を書き出してみる
②とりあえず「3C分析」を書き出してみる
③とりあえず「5フォース分析」を書き出してみる
④上記①~③の分析で書き出したキーワードをもとに
 過去・現在・未来をつなげてストーリー化する
⑤上記④のストーリーに会計数値をくっつける
———————————————

これらの①~⑤について、
以下で簡単に整理をしていきたいと思います。

 

①SWOT分析を書き出してみる

まずは「SWOT分析」についてですが、
有名なので、すでにご存知かもしれませんが、
外部環境、内部環境について、
————————–
・強み (Strengths)
・弱み (Weaknesses)
・機会 (Opportunities)
・脅威 (Threats)
————————–
の4つのカテゴリーで要因分析する手法です。

それによって、
事業環境変化に対応した
経営資源の最適活用や意思決定をしていきます。

 

単純な整理ですが、
このようなシンプルな整理で、
きちんと自社を見つめ直すことは有益だと思いますので、
面倒くさがらず一度実施してみていただきたいと思います。

このようなフレームワークがあると、
意外と考えが整理されて見える化できるものですので。

 

②3C分析を書き出してみる

次に、こちらもメジャーなフレームワークとして
「3C分析」についてです。

こちらは、
————————–
・市場・顧客 (Customer)
・競合 (Competitor)
・自社 (Company)
————————–
という切り口で自社と外部環境を整理して、
事業の成功要因を見つけ出す手法です。

こちらもシンプルなフレームワークですが、
個人的な好みとしては、
この3C分析は整理の仕方としては好きな手法です。

 

シンプルではありますが、
市場や顧客、競合のことがわかっていないと、
上手く整理ができませんので、
これを機会に調査をしてみてはいかがでしょうか?

 

③5フォース分析を書き出してみる

最後に「5フォース分析」についてです。

こちらは、
————————-
・競合他社
・新規参入業者
・代替品
・買い手
・売り手(供給業者)
————————-
という5つの要因を整理して、
自社にとっての有利な事業戦略を考えていく手法です。

マイケル・ポーターが提唱した理論ですが、
学問的にはとても整理されていると思う一方で、
5つの要因で整理するのは難易度が高くなる気がします。

 

とりあえず「SWOT分析」や「3C分析」をしたうえで、
分析が楽しくなってきた場合には、
この5フォース分析もチャレンジをしてみていただいても良いかと思います。

但し、SWOT分析や3C分析あたりで、
ある程度、考えが整理された場合や、
5フォース分析を実施する力が残っていない場合には、
いったんはパスをしても良いかと思います。

 

事業計画は、1回作ったら終わりではなく
継続的にブラッシュアップしていくものですので、
まずは、いったん仮決めでも作成することがスタートだと思います。

最初から完璧なものを作ろうと思うと、
手が止まってしまうと思いますので、
まずは、いったん作成してみることが大切なので、
適度に力を抜きながら、作業が止まらないように
次へ進んでいただければと思います。

 

④分析結果をもとに過去・現在・未来のストーリー化

以上で実施してきた
・SWOT分析
・3C分析
・5フォース分析
の結果をもとにキーワードを整理していきながら、
ストーリーにしていく必要があります。

ストーリー化するうえでは、
「過去⇒現在⇒未来」
といった形でつながっていくように、
整理をしていくことになります。

 

ただ、意外とこのストーリー化は難しいかもしれません。

 

なぜかというと、
このように時の流れに応じてストーリー化するためには、
厳密には、
————————————-
「SWOT分析」「3C分析」「5フォース分析」(3パターン)
    ×
「過去」「現在」「未来」(3パターン)
    
9通りのパターン
————————————-
といったパターンが必要だからです。

 

このように9種類も
パターンを都度作るのは大変です。

ですので、実際には、「現在」について、
まずは、「SWOT分析」「3C分析」「5フォース分析」をして、
それをもとに、過去と未来に膨らませるイメージかもしれません。

最初は、こんな感じで良いと思います。
最初から完璧を目指さない方が良いと思います。
前に進めなくなりますので。

 

一度作成をしておけば、
それが将来的には「過去」の分析として使えます。

その都度、分析した結果を履歴として残しておけば、
将来的に「過去⇒現在⇒未来」のストーリー化はできますので、
まずは、いったん仮決めでもよいので、
取り組んでもらえればと思います。

 

ストーリーに会計的な数値をくっつける

最後に「定量情報」を加える作業になります。

多くの会社で、この部分が
意外と手を付けられていないようです。

当然、売上目標的なものは作成できているのですが、
経費や利益面まで含めた形になると難しいようです。

 

ここについては、個人的には、
これが一番の近道だと思っています。

————————————-
過去の自社の決算数値・概要を暗記する
————————————-

経営者には、是非、この作業に
取り組んでいただきたいと思っています。

 

もしかしたら、
「将来の事業計画を考える必要があるのに、
 過去に戻るのですか?」
と思われるかもしれません。

ただ、「過去」があって「現在」があり、
そしてその先に「未来」があります。

自社の過去について定量的に把握できていない状況で、
未来を定量化することはとても難しいと思います。

 

過去という事実に対して、
きちんと会計数値と結び付けてあげることで、
「定性情報」と「定量情報」の関係性が必ず見えてくるはずです。

 

そのため、経営者には、
————————————-
過去の自社の決算数値・概要を暗記する
————————————-
という作業に取り組んでもらいたいと思っています。

 

まとめ

ということで、今回は
「【STEP1】 事業計画・コーポレートストーリーの作成」
のテーマについてお伝えしてみました。

 

進め方としては以下のように整理をさせていただきました。

———————————————
①とりあえず「SWOT分析」を書き出してみる
②とりあえず「3C分析」を書き出してみる
③とりあえず「5フォース分析」を書き出してみる
④上記①~③の分析で書き出したキーワードをもとに
 過去・現在・未来をつなげてストーリー化する
⑤上記④のストーリーに会計数値をくっつける
———————————————

 

今回の内容をもとに取り組もうと思っても、
なかなか事業計画やコーポレートストーリーの作成が
前に進まない場合には、
外部の専門家に依頼する手も当然あるかと思います。

但し、外部の専門家に丸投げしても、
核心の部分は作りこめない面もありますので、
是非、できるところまででよいので、
経営者自らもトライをしてみてもらいたいと思います。

そのうえで外部の専門家に依頼するとスムーズです。

 

また、今回の内容でとくにお伝えしたいことは、
繰り返しになりますが、
————————————-
過去の自社の決算数値・概要を暗記する
————————————-
ということです。

 

自社の決算状況について、
・売上
・粗利
・利益
といったキーになる数値であっても、
前期、前々期の数値を覚えている社長は、
私のこれまでの経験上、3%程度の印象です。

そう考えると、
過去2期分の決算書を暗記すれば、
数値に強い社長の部類に必ずなれますし、
その延長線上として、未来の数値である事業計画についても、
数値作成ができるようになると思っています。

 

なお、IPOした会社の資料事例を見ることは、
とても参考になるかと思いますので、
ご興味があれば、以下をご参考にしていただければと思います。

【IPO事例】成長可能性

 

参考:IPOのロードマップ

【STEP 1】 事業計画・コーポレートストーリーの作成
【STEP 2】 資本政策・資金調達計画の立案開始
【STEP 3】 税理士依存からの脱却
【STEP 4】 税務会計から上場会計へ
【STEP 5】 管理部門人員の強化(経理・人事)
【STEP 6】 労務管理体制の強化
【STEP 7】 監査法人の選定・ショートレビュー
【STEP 8】 証券会社選定
【STEP 9】 役員構成の整備開始
【STEP10】 関連当事者の整理
【STEP11】 上場PJチーム発足
【STEP12】 規程類の整備開始
【STEP13】 月次決算の早期化
【STEP14】 予算管理体制・セグメント管理体制の構築
【STEP15】 内部統制体制&内部監査体制の構築開始
【STEP16】 会計監査の本格対応
【STEP17】 証券会社審査等の対応
【STEP18】 上場のための開示書類作成
【STEP19】 取引上の上場審査
【STEP20】 ロードショー&株価決定

 

関連記事

最近の投稿