はじめに【IPO】「チャンスがあればIPOを目指してみたい」経営者に伝えておきたいこと

今回の内容

 

チャンスがあればIPOを目指してみたい

最近は、コロナウィルスの影響で、
新規のIPO(株式上場)が延期されたり、
資金調達が難しくなったりといったことも聞くようになりました。

 

私個人としては、
20年前に会計士になったときは(22歳くらいだったのですが)、
あまりIPOのことはよくわかっていませんでしたが、
なんだかワクワクする感じがして「IPO」に強い監査法人に入りました。

 

IPOがすべてではありませんし、
IPOすることで不幸になっていった会社も見てきたので、
IPOが本当に良いことかは、会社ごとの状況によると思います。

ただ、私自身の社会人のスタートがそこにあったため、
「IPOを目指したい」という社長とお会いすると、
今でもワクワクします。

これから成長拡大していこうというステージの会社は、
やはりエネルギーもありますし、
未熟な組織状態を整備していくステージは逆に今後の可能性を感じて、
応援もしたくなりますし、一緒に成長していきたい、
感じさせられるのだと思います。

 

今でもたまに
「チャンスがあればIPOを目指してみたい」
というお話を社長さんから聞くことも多いこともあり、
今回はIPOについて記載をしてみたいと思います。

 

よく質問されること

IPOを検討し始めている社長さんに
私自身がよく聞かれることは、
だいたい以下のようなことが多いです。

————————————————-
①どれくらいの期間でIPOできますか?
②IPOに向けて何から手をつけていけばよいのですか?
③IPO支援をお願いする場合に、誰に依頼をすればよいのですか?
④当社のような会社でもIPOできますか?
————————————————-

 

IPOに向けて具体的な準備をされていない場合には、
確かに全体像がわかりづらくてモヤモヤしている状況ですよね。

IPOによるメリットの方は、
いろいろと話題に上ることも多いですが、
IPOによるデメリット面については意外とわかりづらい面もあります。

 

実際に、得られるメリットも大きい分、
デメリットや苦しみも多いのが実情です。

そこで、今回は、
このあたりを少しでもイメージできるようになるために、
以下に「IPOを目指す」ということとはどういうことかを、
できる限り具体的にしていきたいと思います。

 

「IPOを目指す」ということとは?

IPOについて考え始めた社長のために、
まず2つの視点で今回はお伝えしてみたいと思います。

———————————
①IPOにはデメリットもある
②IPOに向けたロードマップ
———————————

是非、一度ご確認いただき、
IPOについて見つめ直してみていただきたい思っています。

 

①IPOにはデメリットもある

まず気になると思われる株式上場に関するコスト面です。
当然、各社の状況にもよりますが、
株式上場コストについてざっくりまとめますと以下のような感じです。

 

各社の状況によってIPOコストの金額感も異なるため、
具体的な金額を記載すると誤解を招く場合もあるので、
どのようにお伝えした方が良いか悩みましたが、
やはり定量的な金額が無いとイメージがしづらいと思いますので、
目安として株式上場コストについて記載をさせていただきます。

 

まず私の経験上、
「IPOまでにかかるコスト」について、
社長の考えの中にないコストとして大きいのが、
監査法人への監査報酬です。

なぜ監査法人が必要なのか、
監査法人を入れるとどうなっていくのか、については、
改めて別の機会にお伝えしたいと思いますが、
監査法人へは600万円~1,000万円(年間)ほど、
監査報酬が発生します。

 

また、実際に監査法人と契約する際には、
逆に「ショートレビュー」という調査を行われるのですが、
この調査費用として、だいたい200万円のスポット費用がかかります。

これは想定外の1つかもしれませんが、
IPOを目指すうえでは必要経費として受け入れざるを得ません。

 

次に、主幹事証券会社にも、
アドバイザリー契約を締結することで、
ざっくり600万円(年間)程度見ておく必要があるかと思います。

 

そのうえで、上場に向けて、
いろいろな公表資料を作成していくのですが、
その際に専門の印刷会社(宝、プロネクサス)とも契約が必要になり、
ざっくり200万円程度でしょうか。

 

その他、上場が近づくと、
証券代行会社へも300万円くらいの契約
必要になるのではないかと思います。

 

ここまでを合計すると、
IPOを目指さなければ発生しなかったであろう
外部の専門業者への支払いが、
ざっくり年間で2,000万円くらいはかかります。

また、実際に上場後には、
少し単価もあがったりもする傾向もあるので、
年間3,000万円くらいのコストは、
覚悟した方が良いかと思います。

 

以上は、あくまで目安ですが、
経営者としてはこれくらいのコスト増加を覚悟したうえで、
IPOを目指すかどうかのスタートラインに立つ決意が必要です。

 

また、IPOに向けては、
管理部門の強化が必須になります。

まだ中小規模の組織の場合には、
この「管理部門」への投資は
通常は最小限にしていると思いますので、
ここもコストが膨らむと思います。

 

管理部門人材や
会社全体のIT投資においても、
年間で5,000万円くらいの増加は、
覚悟しておきたいところです。

但し、こちらの管理部門やITへの投資は、
会社内部を強くするものですので、
単純にコストアップするだけの話ではなく、
それにより売上や利益もアップすると思えば、
会社成長に伴う必要投資と考えることはできると思います。

 

ということで、
やはりIPOを目指すとなると、
組織規模が拡大する側面もありますので、
諸々の諸経費を考えても
———————————-
1億円くらいのコストアップは
経営者として覚悟していただきたい
———————————-
と思っています。

 

株式上場した後も上場維持コストが続きます。

このくらいコストアップしても、
利益を出して、拡大していける自信があるかどうかが、
1つの目安になるかと思います。

 

②IPOに向けたロードマップ

IPOに向けたコスト面については、
少しイメージできたと思いますので、
そのうえで実際にIPOはどのような流れになっていくのか、
その「ロードマップ」についてご説明をしたいと思います。

IPOはいろいろなプレーヤーが関わってきますし、
多種多様な対応が必要なので、
簡単にまとめるのが容易ではないのですが、
私なりに20ステップに分けてみました。

もしかしたら、
「20ステップも!?」
と思われるかもしれませんが、
これでもかなりシンプルにしたつもりですので・・・、
ご容赦くださいませ。

————————————————————-
【STEP 1】 事業計画・コーポレートストーリーの作成
【STEP 2】 資本政策・資金調達計画の立案開始
【STEP 3】 税理士依存からの脱却
【STEP 4】 税務会計から上場会計へ
【STEP 5】 管理部門人員の強化(経理・人事)
【STEP 6】 労務管理体制の強化
【STEP 7】 監査法人の選定・ショートレビュー
【STEP 8】 証券会社選定
【STEP 9】 役員構成の整備開始
【STEP10】 関連当事者の整理
【STEP11】 上場PJチーム発足
【STEP12】 規程類の整備開始
【STEP13】 月次決算の早期化
【STEP14】 予算管理体制・セグメント管理体制の構築
【STEP15】 内部統制体制&内部監査体制の構築開始
【STEP16】 会計監査の本格対応
【STEP17】 証券会社審査等の対応
【STEP18】 上場のための開示書類作成
【STEP19】 取引上の上場審査
【STEP20】 ロードショー&株価決定
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いかがでしょうか?

イメージがわきづらい項目もあるかと思いますので、
次回以降に、各ステップについての説明は、
1つずつ具体的に実施していきたいと思います。

 

IPOを目指すかどうかを判断するためには、
先ほどのコスト面と、このロードマップについて
まずは、ご確認いただきたいと思っています。

そのうえで、
「それでもIPOを目指してみたい!」
と思えるようであれば、
これは目指す価値のある道だと思います。

一方で、
「少しイメージと違うな・・・」
と思われるようでしたら、
そこまで焦らず、一度冷静になって
考え直してみても良いと思います。

 

会社としてIPOがすべてではないです。

上場しているからといって、
非上場の会社より優れている、
というわけでもないのです。

 

一方で、IPOを目指すことにより
得られる経験や価値もあると思います。

IPOを目指した結果として、
最終的にIPOをしないという選択肢もあります。

 

また、IPOは目指さないけれど、
IPOしたいと思ったときにすぐ取り組めるように
できる限りIPO水準の会社にしておく、
という選択肢もあると思います。

 

経営者として
いろいろな選択肢があると思いますので、
「なぜIPOをしたいのか?」
「本当にIPOを目指すべきなのか?」
について考えてみる機会にしていただければと思います。

 

今回お伝えした内容について

3年くらい前に、30人くらいの経営者と
個別にインタビューをさせていただく機会があったのですが、
その際に、このような要望がありました。

「IPOに向けてのロードマップみたいなものを教えてくれませんか?」

 

私自身、IPOの支援はちょこちょこ実施してきたのですが、
業務依頼のあった都度、会計領域の支援をするといったことが多く、
IPO全体について整理した資料を持っていませんでした。

そのため、急遽、自分の中の情報を整理しつつ、
最近の傾向も少し反映したものとして、
30ページくらいの冊子を作りました。

 

そして、改めて15名くらいの社長お一人ずつに、
作成した冊子を使って再度説明をしたのですが、
意外と反応がよく、
「IPOについてのイメージができました」
と言っていただけました。

 

ただ、その冊子も、
その説明の機会が終わると眠ったままだったのですが、
久々に見返してみるうちに、
「経営者の反応もよかったし、当サイトの趣旨にも合うので、
 どうせ眠っているのであれば情報として残しておこう」
ということで、今回の記事にしてみました。

 

ということで、
次回以降に上記に掲げた「株式上場の進め方」の
ステップ1~20を1つずつお伝えしていきたいと思います。

もし上記のステップで
気になる項目やもう少し知りたいと思った項目があれば、
そちらの別記事の方をご確認いただければ、
もう少しイメージがわくと思います。

株式上場のメリットだけでなく、
株式上場のデメリットも意識しながら、
検討進めてみていただきたいと思います。

 

今回の内容