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Vol.129【IPO事前準備】会計データ・裏付け証憑の整理

  • 2021.4.23

株式新規上場(IPO)のための事前準備ガイドブック

前回前々回
日本公認会計士協会から公表されている
「株式新規上場(IPO)のための事前準備ガイドブック」
の概要について、ご紹介をさせていただきたいと思います。

 

そのなかでピックアップされている項目として
———————————————-
会計データ・裏付け証憑の整理
発生主義会計及び収益認識会計基準への対応
棚卸資産管理
原価計算体制
資産・負債の管理
連結決算
関連当事者取引の把握・整理
⑧内部管理体制の構築
⑨労務管理
⑩情報システムの内部統制
⑪不正への対応
⑫会計上の見積り
⑬会計基準の選択
———————————————-
が挙げられています。

 

このうち、今回は
「①会計データ・裏付け証憑の整理」
についてご紹介をしたいと思います。

 

監査法人がやってくると・・・

監査法人と監査の契約をすると、
定期的に監査のために会社にやってきて、
あらゆる資料を依頼されます。

請求書・領収書のファイルや
契約書のファイルといったものから、
売上関係の管理データや、その他管理資料。

 

最初に監査を受けるときには、
結構うんざりすると思います。

 

ただ一方で、監査をする側の立場に立った場合には、
どのような思いで資料を依頼しているのでしょうか?

 

監査人の個性にもよりますが、
基本的には資料の依頼をするのは、
あまりしたくないと思っていると思います。

やはりクライアントへ
余計な負荷をかけてしまうという引け目を感じながら、
監査を実施しているというのが、
多くの監査人の思いだと思いますので。

但し、監査法人側も仕事なので、
資料を依頼して入手しないと監査業務が進まないので、
積極的に依頼をしたいわけではなくても、
次から次へと資料依頼をしてくる感じなります。

 

そして、資料依頼をしても、
なかなか資料が出てこなかったり、
関連するデータが整理されていなかったりすると、
監査法人もストレスが溜まってきて、
ダラダラと監査が続いていくことになります。

 

会計データ・裏付け証憑の整理

「株式新規上場(IPO)のための事前準備ガイドブック」より引用

ここで、
「株式新規上場(IPO)のための事前準備ガイドブック」
にある1つ目のポイントの
「①会計データ・裏付け証憑の整理」
が重要になってきます。

 

やはり、
会計データや裏付け証憑が整理されている会社は、
監査法人側もスムーズに監査業務が進みますし、
クライアントへの心証も良くなるものです

結局、これらのデータが整備されていない会社は、
管理体制がずさんだとみなされますし、
監査時間も無駄に長くなり、監査報酬も高くなります。

 

別に監査法人のために
データの整理や証憑類の整理をするものではないと思いますが、
結局、これらの整理・整備ができていない会社は、
会計処理もミスが多かったり、タイムリーに数値作成ができていないことが多いです。

日々のデータ整理や証憑類の整理をできる会社になって初めて、
会計データの精度も高くなりますし、経営管理体制も向上していくと言えます。
そして、監査法人の監査を受けられる基礎がある状態とも言えます。

すべては連動していくものですので、
まずは管理体制整備の基礎として、
データの整理・証憑類の整理ができる会社になることが、
IPOのための第一歩と言えるでしょう。

 

最近の監査

最近は、多くの会社でデジタル化が加速しています。

そのため、監査法人の監査も、
従来のような紙ベースの管理の時代とは異なったスタイルに
移行しているところと言えます。

 

多くの監査法人が、
今や在宅によるリモート監査を行っています。
クライアント場所に行かずに、
証憑類をデータの形でやりとりしながら、
監査をする時代になりました。

この流れは、コロナが今後終息に向かったとしても、
元に戻ることはなく、より進んでいくと思いますので、
会社としては、データでの証憑類の整理というのが
重要になってくると思います。

 

ここで是非トライしたいのが、
「電子帳簿保存法・スキャナ保存法」
です!

 

会計監査において、
電子帳簿保存法・スキャナ保存法が必須なものではありませんが、
きっと、これらに対応した会社であれば、
会計監査対応もスムーズにいくのではないかと思っています。

 

次回は

ということで今回は、
「①会計データ・裏付け証憑の整理」
というテーマでお伝えをいたしました。

次回は、
②発生主義会計及び収益認識会計基準への対応
についてご紹介できればと思います。

 

 

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