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Vol.79【IPO事例】株式会社インバウンドテック

  • 2020.12.29

新規IPO

2020年12月18日に株式会社インバウンドテック(サービス業)
東京証券取引所マザーズに上場いたしました。

今回は同社から公表されている資料にもとづき、
IPOの状況を確認してみたいと思います。

 

上場時資料

■成長可能性に関する説明資料

 https://ssl4.eir-parts.net/doc/7031/tdnet/1914098/00.pdf

■東京証券取引所マザーズへの上場に伴う当社決算情報等のお知らせ

 https://ssl4.eir-parts.net/doc/7031/tdnet/1914097/00.pdf

■新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)

 https://www.jpx.co.jp/listing/stocks/new/nlsgeu0000053l7c-att/12InboundTech-1s.pdf

 

成長可能性に関する説明資料

■会社概要

まずは、会社概要についてです。

オーソドックスな資料の作りですが、
以下のような資料で、1つ1つ説明をしています。
「会社概要」
「沿革」
「企業理念」
「事業系統図」
「マルチリンガルCRM事業(事業概要)」
「マルチリンガルCRM事業(クライアント)」
「マルチリンガルCRM事業(クライアント事例)」
「セールスアウトソーシング事業(事業概要)」
「セールスアウトソーシング事業(クライアント事例)」
「業績推移(全社)」
「業績推移(セグメント別)」

 

事業ごとに概要とクライアント事例を説明しており、
そのうえで、セグメントごとの業績もあわせて示しているため、
同社の事業概要がとても分かりやすい資料となっています。

 

■事業の特長と競争優位性

次に、事業に関する特長競争優位性について、
3つに分けて説明をしています。

具体的には、
「特長①:24時間365日、12ヵ国語対応のインバウンドサポート体制」
「特長①:競争優位性」
「特長②:1人のオペレーターが複数案件を担当する独自のシェアード体制」
「特長②:競争優位性」
「特長③:さまざまなインフラ系商材に対応可能な営業ノウハウ」
「特長③:競争優位性」
「ポジションマップ:マルチリンガルCRM事業」
「ポジションマップ:セールスアウトソーシング事業」
といった資料で説明をしています。

 

3つの特長ごとに、
「なぜ競争優位性があるのか?」
といった点をセットで説明をしており、
資料の作りとしてもわかりやすい体系といえます。

また、そのうえで、
2つの事業それぞれにおけるポジションニングについても
ポジションマップでわかりやすく見える化しており、
競合他社との違いがとても理解できる内容となっています

 

■事業環境

次に事業環境についてです。

具体的には、
「BPO&コールセンターの市場規模」
「市場環境:在留外国人の推移」
「市場環境:訪日外国人数と出国日本人数」
「市場環境:インフラ自由化と乗換需要拡大」
といった資料を用いて説明をしています。

 

同社のサービスが受け入れられる市場環境になってきていることを、
最近10年間の環境推移グラフを用いて説明していて、
時代のニーズにあったサービス展開をしていることは伝わってきます。

但し、新型コロナウィルスの影響で、
海外と日本の往来がストップした直近において、
同社の展開がどうなっていくところが気になるところです。

 

■成長戦略

そして最後に成長戦略についてです。

 

3つの成長戦略として
「コンサルティング営業の強化・サービス品質の向上」
「コンシューマー向けサービス展開の推進」
「セールスアウトソーシング事業におけるインフラ関連商材の取り扱い拡大」
といった資料でまとめています。

それぞれの成長戦略ごとに、
「IPOの資金調達による主な使途(投資計画)」
について、3ヵ年計画として数値で表現している点は、
とてもわかりやすく良い資料だと感じました。

 

また、そのうえで、以下の資料によって、
成長戦略の内容を補っています。

「成長戦略に伴うシナジー」
「インバウンドテックのありたい姿」
「リスク情報(変動要因)」

 

とくに、リスク情報のところでは、
気になる「新型コロナウィルス」にも触れていますが、
総論的な内容であるため、
具体的な影響について、もう少し説明があると、
よりわかりやすい気がしました。

 

財務数値の特徴

まずはB/Sについては以下のような感じです。

 

資産のほとんどは預金と売掛金になります。
その点で、大きく気になる点は見受けられません。

また、負債もとくに目立ったものも無く、
借入も預金より少ないですので実質無借金経営です。

自己資本比率も50%と、
堅調に事業が回っていることが読み取れます。

 

次にP/Lの方はどうでしょうか。

 

粗利率が15%弱ということで、
原価率がかなり高めである点が少し気になるところでしょうか。

 

サービス業なので仕方がないところかと思いますが、
原価のほとんどが人件費・業務委託費といったあたりになっていますので、
変動費要素が強く、売上が拡大しても、
原価率の改善はそれほど期待ができないかもしれません。

また、原価の中でもとくに業務委託費が大きい点が気になります。
この点で、同社の内部に競争優位や付加価値になる源泉があるのか、
少しわかりづらいかもしれません。

それでも、営業利益率が7%程度となっており、
販管費はとても小さな割合で抑えられている点も
特徴的なところでしょうか。

 

今後の課題としては、
より付加価値の高いサービスを提供する中で、
それに見合った売価設定ができるかどうか、
また、原価低減ができるかどうか、
といったところと思われます。

 

資本政策

■特別利害関係者等の株式等の移動状況

有価証券上場規程施行規則第253条の規定

東京証券取引所マザーズへの上場にあたり、
特別利害関係者等が、新規上場申請日の直前事業年度の末日から起算して
2年前の日(2018年4月1日)から上場日の前日までの期間において、
発行する株式又は新株予約権の譲受け又は譲渡を行っている場合には、
「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」に記載することとされています

 

2018年9月
・取締役会長&執行役員2名⇒取引先の子会社(理由:移動後所有者の取得希望に応じたため
・3,980円×25,000株(割合:約3.4%)
・株価は類似公開会社比準方式により算出した価格に基づき、
 当社事業計画を加味し総合的に勘案して、当事者間で協議のうえ決定
・約2年後には上場を果たし、株価(公募価格)は5,700円(約1.5倍)となっている

 

■第三者割当等の概況

2019年8月
・第3回新株予約権 (ストック・オプション)
・発行数:普通株式 33,600株
・発行価格:1,317円
 ※DCF法により第三者算定機関が算定した価格に基づき、総合的に勘案して決定した価格
・発行方法:2019年6月27日開催の定時株主総会において付与決議
・保有期間等に関する確約:割当日から上場日前日または新株予約権行使日のいずれか早い日まで所有
・割当者:取締役、執行役員、社員

 

■株主の状況

・第1位:株式会社a2media 154,200株(20.99%)
・第2位:取締役会長  101,600株(13.83%)
・第3位:株式会社グローバルキャスト 76,500株(10.41%)

 

■新株予約権の状況

・71,700株
・9.76%

 

■資産管理会社

・該当なし

 

■総括

・株主として事業会社が多い
 ⇒おそらく取引関係があるものと思われる

※詳細は、以下の「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」参照

 https://www.jpx.co.jp/listing/stocks/new/nlsgeu0000053l7c-att/12InboundTech-1s.pdf

 

監査報酬

上場直前の監査報酬の状況は以下のような感じです。

直前期の監査報酬で1,800万円程度となっており、
他社と比べて若干ではありますが、高めといった印象でしょうか。

 

新規上場株価情報

●事業内容
・24時間 365日・多言語対応コンタクトセンター運営事業、セールスアウトソーシング事業
●業種別分類
・サービス業
●株主名簿管理人
・東京証券代行㈱
●監査人
・三優監査法人
●幹事取引参加者
・東海東京証券㈱
●発行済株式総数
・663,000 株(2020 年 11 月 16 日現在)
●上場時発行済株式総数
・849,200 株
(注1)公募分を含む
(注2)新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。
●公募・売出しの別
・公募:186,200株
・売出し(引受人の買取引受による売出し)20,000株
・売出し(オーバーアロットメントによる売出し)30,900株
●売出株放出元
・㈱グローバルキャスト
●公募・売出価格
・5,700円
●初値
・7,300円 (公募価格比+1,600円 +28.1%)

 

 

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