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Vol.77【IPO事例】株式会社プレイド

  • 2020.12.25

新規IPO

2020年12月17日に株式会社プレイド(情報・通信業)
東京証券取引所マザーズに上場いたしました。

今回は同社から公表されている資料にもとづき、
IPOの状況を確認してみたいと思います。

 

上場時資料

■成長可能性に関する説明資料

 https://ssl4.eir-parts.net/doc/4165/tdnet/1913858/00.pdf

■東京証券取引所マザーズへの上場に伴う当社決算情報等のお知らせ

 https://ssl4.eir-parts.net/doc/4165/tdnet/1913857/00.pdf

■新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)

 https://www.jpx.co.jp/listing/stocks/new/nlsgeu0000053c5d-att/12PLAID-1s.pdf

 

成長可能性に関する説明資料

■ミッション

まずはミッションについて表現する資料から始まっています。

具体的には、
「データによって人の価値を最大化する」
というミッションを示しています。

 

■会社概要

次に会社概要として、
経営メンバーの紹介主要な経営指標の説明を
もってきています。

 

■プロダクト概要

さらにプロダクトの概要へと続いていきます。

具体的には、
「KARTE (2015年3月~)」
「KARTE for App (2018年3月~)」
「KARTE Datahub (2018年12月~)」
「KARTE導入ウェブサイト・アプリ数の業界別割合(2020年9月末)」
「売上高の推移」
といった資料で、プロダクトの概要と、
それによる収益状況を説明しています。

 

■CXが注目される理由

そして同社のプロダクトが受け入れられる前提として、
現状のデジタルマーケティングの課題や、
今後のデジタルマーケティングの方向性についての内容を
客観的な視点から説明をしています。

具体的には、
「現状のデジタルマーケティングの課題」
「デジタルマーケティングのパラダイムシフト」
という2枚の資料が用意されています。

 

■サービス概要

そのうえで、上記のデジタルマーケティングの課題や
今後のパラダイムシフトへ対応したものとして、
同社のサービスの詳細の説明がされているパートに移っていきます。

具体的には、
「CXプラットフォーム「KARTE」によるユーザー・顧客体験の向上」
「ビジネスモデル」
「KARTEの特徴」
「特徴1:顧客一人ひとりを可視化」
「特徴2:リアルタイム解析基盤」
「特徴3:ワンストップで施策実行」
「KARTEの利用ステップ」
「KARTE利用企業における活用例」
「KARTEが愛される理由」
といった資料を用いて、同社サービスの特徴と
同社サービスが選ばれる理由について説明をしています。

 

■潜在的な市場規模

次に市場分析のパートです。

具体的には、
「CXプラットフォームが持つ潜在的な市場規模」
「対象・関連市場の規模とポテンシャル」
という資料をもとに、
同社のサービスが市場規模や
今後の市場ポテンシャルを説明しています。

 

■成長戦略とポテンシャル

同社のサービス概要や市場分析の次として、
今後の成長戦略についてのパートになります。

具体的には、
「売上高の成長継続に向けた戦略」
「契約件数の拡大」
「契約単価の拡大」
「CXプラットフォームとしての可能性」
といった資料で説明をされています。

オーソドックスに
売上高を「単価×客数」に因数分解したうえで、
それぞれの拡大可能性を説明することで、
成長可能性を示しています。

 

■財務モデル

そして最後に財務指標についての説明を
もってきています。

具体的には、
「売上高・ARRの着実な成長」
「規律あるコストコントロール」
「世界の先行するSaaS企業に並ぶセールス効率性」
「魅力的なサブスクリプションモデル」
といった資料になります。

 

売上高については、
順調に拡大している様子をビジュアルで説明するとともに、
コスト面については、
きちんとコントロールできている点をアピールしています。

 

また、最近のトレンドである
「サブスクリプション」
という表現も最後にもってきていて、
ビジネスモデル自体の競争優位性を
主要指標を示すことで、説明しています。

ちなみに、
サブスクリプション売上高比率が95.3%ということで、
非常に高い割合であることがわかります。

 

財務数値の特徴

まずはB/Sについては以下のような感じです。

 

最近の情報通信系のIPO会社の典型的なB/Sといった感じです。

資産の多くは預金といった感じですし、
情報通信系の会社ではありますが、ソフトウェアの計上もありません。
(但し、これは赤字等を理由にした減損処理の影響だと思われます)

 

また、負債もとくに目立ったものも無く、
借入も預金より少ないですので、実質無借金経営です。

VCもかなり入っていることから、
エクイティによる資金調達をかなりされている印象のため、
キャッシュ的には余裕があるものと思われます。

 

利益剰余金は10億円を超えるマイナスではありますが、
自己資本比率も50%を維持していますので、
その点では、かなり資本が厚い会社と言えます。

 

次にP/Lの方はどうでしょうか。

 

粗利率が70%を超えていることもあり、
付加価値は高いビジネスと考えられます。

また、売上も大きく拡大しているステージですので、
その点、粗利も拡大していますが、
一方で、販管費の方がまだ大きいため、
営業損益は赤字状態が続いています。

おそらく、今は資金調達もして
キャッシュにも余裕がある状態を考えると、
営業赤字になっても、広告宣伝費やコストをかけてでも、
売上拡大を意識しているステージなのだと思われます。

 

今後、どのタイミングで黒字化できるかが気になりますが、
2021年9月期は営業黒字化する予想のようです。

 

資本政策

■概要

多くの移動や新株予約権発行があり、
整理が複雑になるため、細かい情報は省略しますが、主に
「VC保有の種類株式を自己株式として取得して、普通株式を発行する」
「VCへの新株予約権発行」
といった内容がほとんどです。

 

■株主の状況

・第1位:代表者個人 11,715,000株(29.65%)
・第2位:取締役個人  7,816,000株(19.78%)
・第3位:JAPAN VENTURES I L.P.  6,280,000株(15.89%)

 

■新株予約権の状況

・4,105,000株
・10.39%

 

■資産管理会社

・該当なし

 

■総括

VC等の出資が40%程度を占めている
 ⇒上場時の売り出し株式数も全体の発行株式数の1/3程度になっており多くなっている

※詳細は、以下の「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」参照 

 https://www.jpx.co.jp/listing/stocks/new/nlsgeu0000053c5d-att/12PLAID-1s.pdf

 

監査報酬

上場直前の監査報酬の状況は以下のような感じです。

直前期の監査報酬で2,000万円程度となっており、
他社と比べて若干高めといった印象でしょうか。

 

新規上場株価情報

●事業内容
・クラウド型 CX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」の提供
●業種別分類
・情報・通信業
●株主名簿管理人
・三井住友信託銀行㈱
●監査人
・有限責任 あずさ監査法人
●幹事取引参加者
・みずほ証券㈱
●発行済株式総数
・35,408,900 株(2020 年 11 月 12 日現在)
●上場時発行済株式総数
・36,930,900 株
(注1)公募分を含む
(注2)新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。
●公募・売出しの別
・公募:1,522,000 株
 ※国内募集株式数281,400株/海外募集株式数 1,240,600 株
・売出し(引受人の買取引受による売出し)12,817,000 株
 ※国内売出株式数2,341,100株/海外売出株式数10,475,900株
・売出し(オーバーアロットメントによる売出し)716,000 株
●売出株放出元
・JAPAN VENTURES I L.P.
・フェムトグロースキャピタル投資事業有限責任組合
・フェムトグロースファンド 2.0投資事業有限責任組合
・代表者個人
・取締役個人
・MSIVC2018V投資事業有限責任組合
・SMBCベンチャーキャピタル4号投資事業有限責任組合
・有限責任事業組合フェムト・スタートアップ
・三井物産㈱
・みずほ成長支援第2号投資事業有限責任組合
・三菱UFJキャピタル6号投資事業有限責任組合
●公募・売出価格
・1,600円
●初値
・3,190円 (公募価格比+1,590円 +99.4%)

 

 

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