目次
新規IPO
2020年12月17日に株式会社プレイド(情報・通信業)が
東京証券取引所マザーズに上場いたしました。
今回は同社から公表されている資料にもとづき、
IPOの状況を確認してみたいと思います。
上場時資料
■成長可能性に関する説明資料
https://ssl4.eir-parts.net/doc/4165/tdnet/1913858/00.pdf
■東京証券取引所マザーズへの上場に伴う当社決算情報等のお知らせ
https://ssl4.eir-parts.net/doc/4165/tdnet/1913857/00.pdf
■新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)
https://www.jpx.co.jp/listing/stocks/new/nlsgeu0000053c5d-att/12PLAID-1s.pdf
成長可能性に関する説明資料
■ミッション
まずはミッションについて表現する資料から始まっています。
具体的には、
「データによって人の価値を最大化する」
というミッションを示しています。
■会社概要
次に会社概要として、
経営メンバーの紹介や主要な経営指標の説明を
もってきています。
■プロダクト概要
さらにプロダクトの概要へと続いていきます。
具体的には、
「KARTE (2015年3月~)」
「KARTE for App (2018年3月~)」
「KARTE Datahub (2018年12月~)」
「KARTE導入ウェブサイト・アプリ数の業界別割合(2020年9月末)」
「売上高の推移」
といった資料で、プロダクトの概要と、
それによる収益状況を説明しています。
■CXが注目される理由
そして同社のプロダクトが受け入れられる前提として、
現状のデジタルマーケティングの課題や、
今後のデジタルマーケティングの方向性についての内容を
客観的な視点から説明をしています。
具体的には、
「現状のデジタルマーケティングの課題」
「デジタルマーケティングのパラダイムシフト」
という2枚の資料が用意されています。
■サービス概要
そのうえで、上記のデジタルマーケティングの課題や
今後のパラダイムシフトへ対応したものとして、
同社のサービスの詳細の説明がされているパートに移っていきます。
具体的には、
「CXプラットフォーム「KARTE」によるユーザー・顧客体験の向上」
「ビジネスモデル」
「KARTEの特徴」
「特徴1:顧客一人ひとりを可視化」
「特徴2:リアルタイム解析基盤」
「特徴3:ワンストップで施策実行」
「KARTEの利用ステップ」
「KARTE利用企業における活用例」
「KARTEが愛される理由」
といった資料を用いて、同社サービスの特徴と
同社サービスが選ばれる理由について説明をしています。
■潜在的な市場規模
次に市場分析のパートです。
具体的には、
「CXプラットフォームが持つ潜在的な市場規模」
「対象・関連市場の規模とポテンシャル」
という資料をもとに、
同社のサービスが市場規模や
今後の市場ポテンシャルを説明しています。
■成長戦略とポテンシャル
同社のサービス概要や市場分析の次として、
今後の成長戦略についてのパートになります。
具体的には、
「売上高の成長継続に向けた戦略」
「契約件数の拡大」
「契約単価の拡大」
「CXプラットフォームとしての可能性」
といった資料で説明をされています。
オーソドックスに
売上高を「単価×客数」に因数分解したうえで、
それぞれの拡大可能性を説明することで、
成長可能性を示しています。
■財務モデル
そして最後に財務指標についての説明を
もってきています。
具体的には、
「売上高・ARRの着実な成長」
「規律あるコストコントロール」
「世界の先行するSaaS企業に並ぶセールス効率性」
「魅力的なサブスクリプションモデル」
といった資料になります。
売上高については、
順調に拡大している様子をビジュアルで説明するとともに、
コスト面については、
きちんとコントロールできている点をアピールしています。
また、最近のトレンドである
「サブスクリプション」
という表現も最後にもってきていて、
ビジネスモデル自体の競争優位性を
主要指標を示すことで、説明しています。
ちなみに、
サブスクリプション売上高比率が95.3%ということで、
非常に高い割合であることがわかります。
財務数値の特徴
まずはB/Sについては以下のような感じです。
最近の情報通信系のIPO会社の典型的なB/Sといった感じです。
資産の多くは預金といった感じですし、
情報通信系の会社ではありますが、ソフトウェアの計上もありません。
(但し、これは赤字等を理由にした減損処理の影響だと思われます)
また、負債もとくに目立ったものも無く、
借入も預金より少ないですので、実質無借金経営です。
VCもかなり入っていることから、
エクイティによる資金調達をかなりされている印象のため、
キャッシュ的には余裕があるものと思われます。
利益剰余金は10億円を超えるマイナスではありますが、
自己資本比率も50%を維持していますので、
その点では、かなり資本が厚い会社と言えます。
次にP/Lの方はどうでしょうか。
粗利率が70%を超えていることもあり、
付加価値は高いビジネスと考えられます。
また、売上も大きく拡大しているステージですので、
その点、粗利も拡大していますが、
一方で、販管費の方がまだ大きいため、
営業損益は赤字状態が続いています。
おそらく、今は資金調達もして
キャッシュにも余裕がある状態を考えると、
営業赤字になっても、広告宣伝費やコストをかけてでも、
売上拡大を意識しているステージなのだと思われます。
今後、どのタイミングで黒字化できるかが気になりますが、
2021年9月期は営業黒字化する予想のようです。
資本政策
■概要
多くの移動や新株予約権発行があり、
整理が複雑になるため、細かい情報は省略しますが、主に
「VC保有の種類株式を自己株式として取得して、普通株式を発行する」
「VCへの新株予約権発行」
といった内容がほとんどです。
■株主の状況
・第1位:代表者個人 11,715,000株(29.65%)
・第2位:取締役個人 7,816,000株(19.78%)
・第3位:JAPAN VENTURES I L.P. 6,280,000株(15.89%)
■新株予約権の状況
・4,105,000株
・10.39%
■資産管理会社
・該当なし
■総括
・VC等の出資が40%程度を占めている
⇒上場時の売り出し株式数も全体の発行株式数の1/3程度になっており多くなっている
※詳細は、以下の「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」参照
https://www.jpx.co.jp/listing/stocks/new/nlsgeu0000053c5d-att/12PLAID-1s.pdf
監査報酬
上場直前の監査報酬の状況は以下のような感じです。
直前期の監査報酬で2,000万円程度となっており、
他社と比べて若干高めといった印象でしょうか。
新規上場株価情報
●事業内容
・クラウド型 CX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」の提供
●業種別分類
・情報・通信業
●株主名簿管理人
・三井住友信託銀行㈱
●監査人
・有限責任 あずさ監査法人
●幹事取引参加者
・みずほ証券㈱
●発行済株式総数
・35,408,900 株(2020 年 11 月 12 日現在)
●上場時発行済株式総数
・36,930,900 株
(注1)公募分を含む
(注2)新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。
●公募・売出しの別
・公募:1,522,000 株
※国内募集株式数281,400株/海外募集株式数 1,240,600 株
・売出し(引受人の買取引受による売出し)12,817,000 株
※国内売出株式数2,341,100株/海外売出株式数10,475,900株
・売出し(オーバーアロットメントによる売出し)716,000 株
●売出株放出元
・JAPAN VENTURES I L.P.
・フェムトグロースキャピタル投資事業有限責任組合
・フェムトグロースファンド 2.0投資事業有限責任組合
・代表者個人
・取締役個人
・MSIVC2018V投資事業有限責任組合
・SMBCベンチャーキャピタル4号投資事業有限責任組合
・有限責任事業組合フェムト・スタートアップ
・三井物産㈱
・みずほ成長支援第2号投資事業有限責任組合
・三菱UFJキャピタル6号投資事業有限責任組合
●公募・売出価格
・1,600円
●初値
・3,190円 (公募価格比+1,590円 +99.4%)