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Vol.46 月次決算に取り組むための経営者の決断

  • 2020.10.5

月次決算のための経営者の決断ステップ

今回は、
「これから月次決算に取り組みたい」
と考えている経営者のために、
経営者として決断をしておいていただきたいことについて
お伝えしたいと思います。

 

お伝えするにあたって、
私なりに5つの決断ステップに分けてみました。

【STEP1】組織規模の見極めと決断
【STEP2】社内共有すべき項目の決定
【STEP3】社内共有の目的と人事評価の連動
【STEP4】月次決算結果のアウトプットフォーマットの決定
【STEP5】月次決算結果の共有スケジュール・場所決定

 

今回は、このステップについて、
1つ1つお伝えしたいと思います。

 

【STEP1】組織規模の見極めと決断

まず最初のステップは、
「組織規模の見極めと決断」
についてです。

今回は、
「これから月次決算に取り組みたい」
と思っている経営者向けにお伝えしているので、
お伝えするまでもない点かとも思いますが、
あえて最初にこの項目をもってきました。

 

私がお伝えしたい月次決算は、
戦略的に経営をしていくうえで、
経営戦略の一部としてスピード感のある会計を
実施していくことを想定しています。

そう考えた場合に、
月次決算にきちんと取り組んで、
組織的にPDCAサイクルを回していくことを考えると、
社員数が10名を超えたあたりが、
1つの決断タイミングかと思っています。

10名を超えた組織規模になってくれば、
月次決算に取り組み、月決算の早期化を図ることで、
業績に大きな効果がでてくるタイミングだと感じています。

 

【STEP2】社内共有すべき項目の決定

次に経営者として決断が必要なのが、
「社内共有すべき項目の決定」
という点です。

つまり、
月次決算数値について、
どのレベル感で社内共有をするか、
ということです。

 

大前提としては、
月次決算数値が完成した後に、
社内に数値共有をして、現状の目線合わせをしたうえで、
前月の活動をレビューして、次のアクションにつなげることを想定しています。

そうした場合に、
どこまでの情報を社員に共有するかは、
経営者として悩まれるポイントの1つかと思います。

 

よく聞かれる声として、
「まだ人数が多くないので、そのまま共有すると、
 給与水準とかが社員にわかってしまうと困る」
「これまで公開していなかった会社の利益を公開すると、
 逆に不安を抱かせてしまうかもしれない」
といったような声をお聞きすることもあります。

 

確かに、情報公開できない部分もあると思いますし、
情報共有することによるデメリットもあると思います。

一方で、情報共有することによる
絶大なプラス効果があることも確かなので
このあたりは、メリットとデメリットを考慮しながら、
どこまでの項目や数値を社内公開するかは
経営者として事前に判断が必要になります。

 

たとえば、
人件費はざっくりまとめた形で公開するとか、
経費総額だけを見せるとか、部門別は売上と利益だけにするとか、
各社の状況によって経営者が判断をする必要があります。

 

【STEP3】社内共有の目的と人事評価の連動

共有項目が決まったら、
次に経営者として意識しておいていただきたい点として、
「社内共有の目的と人事評価の連動」
というテーマです。

 

まずは「なぜ月次決算情報を共有するのか」といった点について、
経営者として社内にきちんと説明をする必要があります。

そこには、当然、
「全社で情報共有をすることで現状把握をして、
 そのうえで、目標に向かって頑張りましょう」
といったニュアンスのことは伝えていくと思いますが、
それだけでは、伝える内容として不十分といえます。

なぜなら、
社員が腹落ちするように伝えるためには、
会社全体としての目的とあわせて、
個人の評価とのつながりをきちんと説明をすることが重要だからです。

 

つまり、

「月次決算数値」と「個人の人事評価項目」を連動させること

がポイントになります。

 

 

全社の数値の共有をしたり、
全社の目標を共有するだけであれば、
おそらく社員からすると、
会社のことは「他人事」で終わる可能性が高いです。

経営者として、
月次決算の項目と人事評価がつながる形で、
「組織目標」と「個人目標」を関連付ける仕組みを作ってあげなければ、
せっかくの月次決算も効果を発揮してくれないでしょう。

その意味で、経営者としても覚悟を決めて、
きちんと個人評価と向き合う必要があると思います。
忙しいからと言って、この部分を後回しにしていると、
社員側がついてくれなくなると思いますので。

 

たとえばですが、
「●●円の利益が出たら、●●円を社員に還元します」
といった方針を出すこともわかりやすいと思いますし、一方で、
「●●円の利益が出なければ、ボーナスも多くは支払えない」
といったことも事前に伝えておくことで、
社員の意識や納得感が高まると思います。

 

一般的に、社員は、自身のことと会社のことを
上手くつなげて考えることができないものです。

そのため、経営者としては、
月次決算数値をうまく活用しながら、
会社のことと社員個人のことが連動するように、
きちんと伝えていく必要があります。

 

そして、そのためには、
個人の頑張りがきちんと評価される形で、
月次決算の項目と上手く連動するような人事評価のシステムを
作っていくことが望まれます。

 

【STEP4】月次決算結果のアウトプットフォーマットの決定

そして次に経営者として意識してもらいたいことが、
「月次決算結果のアウトプットフォーマットの決定」
という点です。

これまでのステップで、
・月次決算数値の共有項目の決定
・月次決算数値と個人の評価が連動する仕組み作り
を進めてもらうことで、月次決算のベースはできあがると思いますが、
それをどのように共有するかもあわせて決定しておくことが大切です。

 

具体的には、

どのようなフォーマットで共有するのか

を検討し、アウトプット形式を作成する必要があります。

 

あまりに細かすぎる資料だと、
会計や数値に強くない社員には理解がしづらいものになりますので、
できる限り、シンプルで、かつ、
重要な項目を網羅したフォーマットが望まれます。

そして、このフォーマットができあがれば、
今後は、この資料が「社内共通言語」としての役割を担うようになり、
社員全員の目線合わせの資料として
継続的に活用していけるようになります。

 

この資料を毎月、社員が見ることで、
自身の状況と会社の状況がシンプルにわかるようなフォーマットができれば、
会社としてとても価値のあるものになるでしょう。

 

【STEP5】月次決算結果の共有スケジュール・場所決定

そして最後にお伝えしたい項目は、
「月次決算結果の共有スケジュール・場所決定」
というテーマになります。

 

共有する内容や人事評価とのつながり、
また、共有するフォーマットが決まったら、
あとは、どのタイミングでどの場所で共有するかについても、
きちんと決定をしておく必要があります。

決められた毎月のスケジュールと場所を目指して、
逆算して、月次決算を実施して資料作成をすることになりますし、
社員もこのスケジュールを目指して日々の活動をしていくことになります。

 

よくあるのが、

毎月第●●曜日に■■の会議室に集まって月次会議を実施する

みたいな感じでしょうか。

 

各社の状況に合わせて、
スケジュールや場所を決めていただく形だと思いますが、
最近はオンライン会議も定着してきていると思いますので、
オンラインの会議も上手く併用で切れば、
遠方の社員も参加ができ、効果的でしょう。

 

なお、月次決算数値の共有のスケジュールは、
早ければ早いに越したことはありません。
それだけ早くPDCAサイクルが回りますので。

但し、最初からハードルを上げるのも難しい場面があると思います。

そのため、最初はスケジュールに余裕を持たせる形でスタートして、
毎月、1日ずつでも日程を早めていくという形も良いと思います。

 

まとめ

ということで、今回は、
「これから月次決算に取り組みたい」
と考えている経営者向けに、
5つの決断ステップに分けてお伝えをさせていただきました。

 

月次決算は経理だけの作業ではありません。

みんなで一緒に作り上げて、
みんなで一緒にレビューをして、
みんなで一緒に目標に向かっていくための仕組みとして、
全社一丸となって「月次決算」に取り組んでいただくと良いと思います。

 

今回の5つのステップについて、
社長として事前に決定ができれば、
あとは月次決算を作り上げるプロセスとなります。

 

 

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