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Vol.136 財務数値を活用した戦略的経営をしたい経営者へ伝えたいこと

  • 2021.5.29

やりたいこと

経営者は、いろいろなセミナーに出たり、
多くの書籍を通じて勉強をしていくなかで、
経営に関するあらゆる知識を習得されているものです。

また、周りの経営者仲間の話を聞くなかで、
「自社でもやってみたい!」
と思うような場面も多いのではないでしょうか。

 

たとえば、
財務数値や会計数値を活用した
戦略的な経営を実践できる体制を構築することは、
なんとく格好良い感じもして、成長フェーズになってくると、
このような経営体制を望むフェーズもきっと出てきます。

このようなフェーズのときは、
経営者としても財務に対するモチベーションも上がり、
経理部門に対して、
「これからの経理は○○みたいなことができるようにしてほしい」
「○○ができる経理こそが必要とされている」
といったようなことを伝え、
要求をしたりするのではないでしょうか。

 

 

なぜ当社ではできないのか・・・

但し、現実問題は、
そんなに簡単にはいきません。

その要因としては1つ考えられるのが、
そもそもの経理人材の基礎能力・知識の欠如です。

 

経理人材が日々の入力で精一杯だったり、
税理士に依存している状況では、
付加価値の高い業務をする以前の問題となります。

そのような状態で、高い要求をしたとしても、
そもそも経営者がやりたいことをきちんと理解できない可能性も高いので、
まずは基礎力の整備の方に重点を置くことが、
現実問題としては必要となります。

 

経理人材に教育の機会を与えてあげるとか、
慢性的な人員不足であれば、人員補強を考えるとか。

また、状況によっては、
専門性の高い経理人材の採用も考えないといけないかもしれません。

 

このあたりになると、
とくに中小企業の場合には、
「管理部門にあまりコストを割きたくないから・・・」
といった思いもより強いと思いますので、
勇気のある経営判断は必要なると思います。

 

但し、もし本気で財務数値等を活用した戦略的な経営をしたいのであれば、
管理部門に投資をする意思決定が必要なフェーズが必ずきます。

とくに成長フェーズにおいては、ここのタイミングを見誤ると、
管理体制がずさんな状態のまま規模拡大し、
後で取り返しのつかないリスクがでたり、
管理体制整備に逆に高くコストがかかったりします。

そのため、管理部門への投資をするかどうかは、
経営者としての本気度が試される機会にはなると思います。

 

 

もう1つの問題

管理部門への投資に対する意思決定ができるかどうかが
重要である点をお伝えしましたが、
実は、これだけでは、上手くいかないことも多いのです。

管理部門への投資をする意思決定をされたこと自体は、
とても勇気のある経営判断だと思いますし、
すばらしいことであることに間違いないのですが、
これだけでは片手落ちなのです。

 

もう1つ問題があるのです。

そして、このもう1つの問題こそ、
実はとても重要で、かつ、各社ができていないことといえます。

これは上場会社レベルでも、
この問題は抱えていて、
企業の成長可能性を阻害している問題になります。

 

この問題を考えるにあたっては
————————————
やるべきことはわかっているけれど、
知りたいのは、どうやってそれをやるか
————————————
ということに行きつきます。

 

つまり、
経理人材としても、
経営者のやりたいことは理解できていて、
当然、経理部門としてもそうしたいと願っているけれど、
そのための「How」がわからない、
という現状です。

なんとも、もどかしい気持ちが、
経理の現場部門にもあるのです。

 

 

やるべきことはわかっている、だけど・・・

このような経理部門で起きる
「やるべきことはわかっているけれど
 どうやってそれをやるかがわからない」
といった問題の根本原因を経営者として理解ができないと
今回のテーマは実現できません。

 

この原因の根本は何かというと、
———————————
社内における経理機能に対する
ポジションが低いという現実
———————————
です。

 

日本の企業は一般的に、
社内における管理部門の地位が低いことが多いです。
経理部門も例外ではありません。

経理部門の社内における地位が低いことが、
なぜ問題になるかですが、それは、
社内の他部門の協力体制に影響するからです。

 

会社は目的達成に向けて
組織を拡大していくにつれて、
機能の細分化・分業化をしていくものです。

その結果として、
経理機能も分業化されているわけですので、
経理で付加価値の高い業務をやろうとすると、
どうしても他部門の協力や理解がないと実行できないことが多いのです。

分業化されているすべての機能が
有機的一体となって機能することで初めて
組織力を発揮できるものですので。

 

それが、経理のポジションが低いと、
営業部門等の協力が得られないことも多く、
そのような状況では、経理としての業務にも支障が出ます。

結局、経理で付加価値の高い業務をしようとしても、
より前方部門である営業やその他部門が
きちんとした形で、きちんとした期限で
情報を経理に提供をしないと、後方部門の経理しても、
「やりたいけど、できない・・・」
といった状況が多く生まれるのです。

 

そして、このような
「経理を見下しているような社内のマインド」
こそが、まさに現場部門として経理だけで解決できない問題で、
どうすればよいかがわからない(=「How」がわからない)、
といった状況が起きているのです。

 

 

まとめ

経理をはじめとした管理部門の
社内的な地位が高いか低いかは、
組織風土によるものが大きいです。

そして、この組織風土を作り上げているのは、
やはり経営者になります。

 

経営者自身が、
「経理をただの事務作業や情報整理をするもの」
といった程度に認識しているうちは、
それがそのまま企業風土・組織風土になります。

このような状況では、
財務数値や会計数値を活用した
戦略的な経営を実践できる体制を構築することは難しくなります。

 

結局、経営者として、
財務数値や会計数値を活用した
戦略的な経営を実践できる体制を構築したいのであれば、
経理や管理部門に対する認識についても同時に
変えていく必要があるということです。

そして、そのマインドを
トップダウンで社内に浸透させていく必要があります。

 

企業成長を望むのであれば、
是非、経理や管理部門の存在を認め、
評価してあげて欲しい、と願っています。

そうすれば、会社は変わっていきますので。

 

★★★★★★★
経理の社内的地位を
きちんと認めてあげれば
会社が変わります
★★★★★★★

 

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