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Vol.115 最近「マネーフォワード勤怠」の導入支援をしていて感じること

  • 2021.2.13

マネーフォワード導入支援としての「MF勤怠」

私の専門領域の中心は、
経営管理、会計、税務、業務フロー改善、
といったあたりになります。

マネーフォワードの導入をこれまで多く支援してきましたが、
その際に、マネーフォワードの各機能・システムをフル活用しながら
企業経営の業務フロー全般を整備していくなかで必ず出てくるのが、
人事関係の分野です。

 

まずは「マネーフォワードクラウド給与(MF給与)」は、
是非、活用したい機能ですので、私もお勧めする機会も多いですし、
基本的にマネーフォワードを導入する会社のほとんどが、
活用をしているのではないかと思います。

中小規模の会社だと、
Excelベースで給与計算・明細を作成しているケースも、
まだまだあるかもしれませんが、
コストがかかっても、やはり、生産性向上を考えると、
MF給与は導入したいところです。

 

そして、最近、私の事務所でも少しずつ増えてきたのが、
「マネーフォワードクラウド勤怠(MF勤怠)」
の導入事例です。

人事分野の業務は私の事務所の中心分野ではありませんが、
やはりある程度のフォローは必要になりますので、
いろいろと機能を確認しながら導入支援をしています。

 

そこで、今回は、
「MF勤怠」を導入するなかで最近よく感じることを
お伝えしてみたいと思います。

 

MF勤怠導入の支援に苦戦

最近、クライアント3社において、
同時並行的に「MF勤怠」の導入を考えたり、
導入支援をするケースがありました。

実際には、まだ支援中なのですが、
結構苦戦をしているのが正直なところです…。

 

私の事務所の勤怠管理としても、
小規模組織ながらMF勤怠を使用しています。

MF勤怠を実際に使用しているなかで感じるところとしては、
最初に就業パターンを設定が多かったり、
意外とカチッとした感じのシステムのような印象を受けます。

たとえば、当初設定と異なる勤務になると
アラート出たり、入力しづらかったり、といった感じで、
Excelのような小回りはききづらいといった感じでしょうか。

そのため、小規模組織の場合には、
Excelとかで時間管理する方が効率的なのかな、
と思う場面があるのも事実です。

 

一方で、組織規模が大きくなると、
初期設定がされ、カチッとした感じのシステムの方が
きっと馴染むのだろうとは勝手に考えていました。

ただ、実際にクライアントへの導入支援をしていると、
いろいろなことに気づかされているところです。

 

現在導入検討・支援をしている会社の
人数規模としては、
———————————————————-
・A社:100人(直近で自社倉庫のために40名程度の新規採用/ネット通販)
・B社:30人(毎月入れ替わりが激しい/営業会社)
・C社:10人(毎月1名ずつ増加している/システム開発)
———————————————————-
といった感じです。

3社とも、業種も就業パターンも異なりますが、
共通しているのは、企業成長の過程で社員が増加していくステージであり、
勤怠管理が煩雑になって改善したいというニーズがあるといった点です。

 

この3社について導入検討・支援をしていくなかで、
すぐにピタっとMF勤怠がはまるケースは正直ありませんでした。
試行錯誤しながら導入となっています。

最初の初期設定の慣れの問題や、
時間登録する従業員側の入力不備等も原因としてありますので、
MF勤怠に限らず、どのようなシステムであっても、
最初の1~2カ月程度は、戸惑いながらアジャストしていく感じだと思いますので、
この点は仕方ないところかと思います。

 

ただ、それ以上に感じることがありました。
上記の3社のいずれのケースでも感じたことです。

 

独自ルールvsパッケージソフト

導入支援の中で感じたこととしては、
—————————————–
・どの会社も就業パターンが多く、複雑である
・社員の要望に合わせすぎている
・独自の勤務ルールが多い
・その独自ルールをシステム対応させようとし過ぎている
—————————————–
ということです。

 

社員に満足してもらいながら、
働きやすい環境を整えていくことは、
今の時代はとても大切なのは当然なので、
その点を否定するつもりはありません。

そのような点を重視すると、
どうしても多くのルールやパターンが出てきてしまうのだと思いますが、
規模拡大をしていくなかで、このスタイルを貫き通すと、
就業パターンのさらなる複雑化が起きてしまいます。

 

この3社でよく出てくる質問としては、
「●●はMF勤怠ではできますか?」
「MF勤怠は●●に対応できていないので使いづらいです」
「自社により適した勤怠システムを知っていますか?」
「うちの勤怠ルールでは、MF勤怠は難しそうです」
といったような感じです。

 

私は人事分野の専門ではないので、
すべての勤怠管理システムを把握しているわけではないのですが、
おそらく、各社の状況に完全に合うようなパッケージシステムは
存在しないのではないかと感じています。

どのシステムも一長一短があると思います。
すべてをかなえてくれる夢のようなパッケージソフトはないということです。

 

そのため、
会社として譲れるところと譲れないところを明確にして、
そのうえで、適したシステムを選択していくのが現実的だと思っています。

どうしても、自社の「今」の形にこだわり、
それをシステムで実現しようと思うのであれば、
究極的にはパッケージソフトをそのまま使用するのは難しく、
システムカスタマイズをしていくしかない気がしています。

ただ、このカスタマイズしていく方法は、
もはや大企業のやり方になってしまいます。

 

企業拡大において「自社の独自ルール」を変えるチャンス

マネーフォワードのようなサービスが出てきて、
従来とは異なり、中小規模レベルの会社でも
ERPシステムを活用できるような時代になってきました。

中小企業でも、マネーフォワードを活用すれば、
企業活動のあらゆる場面で使用するシステムを利用でき、
それらのデータを一気通貫で連携しながら、
最終的な会計データまで流していける時代です。

 

とても良い時代になったと思います。

 

一方で、マネーフォワードのようなパッケージソフトにおいては、
使いづらい部分や自社のやり方に合わない部分も当然あると思います。

但し、いろいろな会社の状況や、法制度を意識して、
基本的にどの会社でも活用できる「型」をベースに標準化しているのが
パッケージソフトなのだと思います。

 

そう考えると、
—————————————————-
組織のルールや業務フローが整備しきれていない中小規模の組織においては、
今ある独自のルールを意識しすぎることなく、
パッケージソフトで標準化された「型」に従って「今のやり方を見直す」
—————————————————-
という発想で考えても良いと思っています。

このような発想転換をすることが、
組織規模拡大をするうえでの基礎作りのチャンスになる
といえるのではないでしょうか。

 

逆に、自社独自のやり方やルールにこだわりすぎると、
「型」のない形の属人化・ブラックボックス化したまま組織が肥大化してしまい、
後で修正が難しくなり、逆に、組織拡大のボトルネックになったり、
生産性が落ちたりするといったことが起きると思います。

大企業の場合には、
やり方を変えるのは容易ではないと思いますが、
中小規模の会社の場合には、
マネーフォワードのようなパッケージソフト導入は、
逆に基礎作りのチャンスだととらえて、
あえて、そちらに合わせて「今」を変える勇気をもっても良い気がします。

 

今回、MF勤怠の導入にあたり、
改めて、このようなことを感じているところなので、
今回のテーマにしてみました。

会計の世界は、
自由度の高い「管理会計」領域はあるものの、
人事領域とくらべると、
まだまだ「型」がある方なのかな、と改めて感じました。

 

MF勤怠の導入支援は、
その点で、いろいろと勉強になっています。

 

 

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