記事一覧

Vol.75【IPO事例】バルミューダ株式会社

  • 2020.12.21

新規IPO

2020年12月16日にバルミューダ株式会社(電気機器)
東京証券取引所マザーズに上場いたしました。

今回は同社から公表されている資料にもとづき、
IPOの状況を確認してみたいと思います。

 

上場時資料

■成長可能性に関する説明資料

 https://www.release.tdnet.info/inbs/140120201210433485.pdf

■東京証券取引所マザーズへの上場に伴う当社決算情報等のお知らせ

 https://www.release.tdnet.info/inbs/140120201210433460.pdf

■新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)

 https://www.jpx.co.jp/listing/stocks/new/nlsgeu00000539d8-att/12BALMUDA-1s.pdf

 

成長可能性に関する説明資料

■理念と事業

まず会社の理念を最初にもってきて、
次に事業概要として、同社の代表的な製品を
ビジュアルとともに紹介しています。

 

■業績

次に業績として、
沿革トピックスとうまく合わせる形で、
「売上高推移と沿革トピックス」
「製品セグメント別売上高」
「近年の業績」
という形で3枚の資料で説明をしています。

創業時からの比較的長いスパンと、
直近数年間の短いスパンの
両方の視点から業績状況を表現されています。

 

■市場分析(3C分析)

次に市場規模に関する説明や
ポジショニングといった内容の説明に移っていきます。
競合他社の名前も出てきていますので、
いわゆる「3C分析」的な要素を含んだパートと言えるでしょう。

具体的には、
「生活家電の市場規模」
「北米市場への進出」
「当社のポジション」
「当社の顧客層」
「年収別の当社認知度」
といった資料で説明をされています。

 

■独自性

そして、その次に、同社の独自性について、
以下の4枚の資料で説明しています。
いわゆる「競争優位性」についての説明と言えるでしょう。

「独自性1:自由なアイディア」
「独自性2:高いコミュニケーション能力」
「独自性3:実現するための組織とワークフロー」
「独自性4:バランスの良い販路構成」

 

■成長戦略

これまでの同社の概要をうけて、
最終的に、今後の成長戦略への説明へ続けています。

具体的に、以下のような資料が用意されていますが、
全体的にシンプルな資料作りの中では、
比較的ボリュームを割いて説明をしている印象です。

「成長戦略:重要指数」
「新型コロナウイルスの影響」
「成長戦略:客単価と客数の当社解釈」
「成長戦略:客単価向上計画」
「成長戦略:投資計画」
「成長戦略:客数向上計画」
「成長戦略:売上高推移計画」

 

■ビジネスモデルと会社概要

最後に、ビジネスモデルと会社概要について、
1枚ずつの資料を用意しています。

最後にこの情報をもってくるパータンは珍しい印象です。

 

財務数値の特徴

まずはB/Sについては以下のような感じです。

資産の8割は、
・現預金
・売掛金
・棚卸資産
の3つで占めています。

業種を考えると、
在庫が適正水準であるかが気になるところですが、
直前期の棚卸資産の回転期間は1.8ヵ月程度となっており、
積み上がっている印象はありません。

 

また、負債については、
買掛金や借入金の金額が大きいですが、
買掛金は通常取引によるレベルと思われますし、
借入金も現預金と同額程度であることから適正水準で、
実質無借金と言える状況です。

利益も拡大し、
積み上がってきているステージであることを考えると、
健全なB/Sと言えるでしょう。

 

次にP/Lの方はどうでしょうか。

粗利率は40%弱といった感じです。
また、営業利益率は直近では約10%程度です。

両者とも異常に高いという水準ではありませんが、
とても良い水準を保っていると言えるでしょう。

 

ヒット製品を生み出せるかどうかで
状況は当然変わると思いますが、
直近では10億円を超える営業利益を続けていることを考えると、
新規上場会社としては、とても優良会社といえそうです。

 

資本政策

■特別利害関係者等の株式等の移動状況

・該当なし

 

■第三者割当等の概況

・該当なし

 

■株主の状況

・第1位:代表者個人 6,000,00株(85.11%)
・第2位:Limotech Korea Co., Ltd.  250,000株(3.55%)
・第3位:株式会社ミツバ  125,000株(1.77%)

 

■新株予約権の状況

・550,000株
・7.8%

 

■資産管理会社

・該当なし

 

■総括

・代表者個人が圧倒的多数の株式を保有している状況での上場
・直前の株式の移動やストックオプション発行といったことも行っておらずシンプル

※詳細は、以下の「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」参照
 https://www.jpx.co.jp/listing/stocks/new/nlsgeu00000539d8-att/12BALMUDA-1s.pdf

 

監査報酬

上場直前の監査報酬の状況は以下のような感じです。

直前期の監査報酬で1,400万円程度となっており、
他社と比べても平均的な水準とえいます。

 

新規上場株価情報

●事業内容
・家電製品の企画・製造・販売
●業種別分類
・電気機器
●株主名簿管理人
・三井住友信託銀行㈱
●監査人
・太陽有限責任監査法人
●幹事取引参加者
・みずほ証券㈱
●発行済株式総数
・6,500,000 株(2020年11月11日現在)
●上場時発行済株式総数
・7,735,000 株
(注1)公募分を含む
(注2)新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。
●公募・売出しの別
・公募:1,235,000株
・売出し(引受人の買取引受による売出し)200,000株
・売出し(オーバーアロットメントによる売出し)215,200株
●売出株放出元
・代表者個人
●公募・売出価格
・1,930
●初値
・3,150円 (公募価格比+1,220円 +63.2%)

 

 

関連記事

最近の投稿