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Vol.37【IPO動向】2020年7月~9月のIPO復調(前年度期より7割増)

  • 2020.9.6

IPO復調

2020年9月5日の日本経済新聞の記事で、
「2020年7月~9月のIPO動向」について掲載されていましたので、
本日のその内容を簡単に共有をさせていただきます。

・新規株式公開(IPO)が復調している
・2020年7~9月は20件と前年同期より7割増えた
・過去10年間では2018年(24件)に次ぐ水準である
・成長期待の大きい銘柄を物色する投資家の動きが後押ししている
・企業規模は小型化しており、相場環境を見極めながら慎重に株式を売り出す傾向が顕著

 

2020年は、コロナ禍の影響から
春の時期にIPOの中止が相次いだ結果、
2020年4~6月は7社にとどまっていましたが、
7月より状況が急回復したようです。

 

2020年のIPO社数は、
1月から9月末までの累計で54社と、
昨年同時期(50社)を上回るペースのようです。

個人的にはIPO減速が続くものと思っていましたが、
意外に早く、IPO市場が復調したとのことで、
驚いているとともに、安心いたしました。

 

売り出し、時価総額

日本経済新聞の記事によると、
具体的な「売出しの状況や時価総額の傾向」は以下のようです。

・米国の主要ハイテク株が調整するなど相場環境は先行き不透明感がある
・IPO支援会社のラルクの鈴木博司社長は
  「IPOの小型化や売り出し株数を絞る慎重姿勢は続いている」と話している
・実際、公開価格(未決定の企業は想定価格)ベースの
 1社当たりの時価総額は2020年7~9月平均で約150億円
・2020年4~6月の1社当たり時価総額(約60億円)でからは回復した
・但し、前年同期の1社当たり時価総額(約200億円)を下回る
・公募・売り出し株数が上場時株式数に占める割合は18%
・過去3年間は20%台半ばが多く、売り出しを絞っているのが分かる

 

確かに、私も直近の事例を見ていて、
売出しの割合が少ないなと感じていたのですが、
市場環境を考え「売り出しを絞っている」という状況のようですね。

 

2020年9月のIPO動向

2020年9月については、
5年ぶりの再上場を予定する雪国まいたけをはじめ
9社が上場予定のようです。

「今後のIPO傾向」については以下のように記載がありました。

・昨年まで目立ったインバウンドやサービス関連が減っている
・一方で、コロナ禍の影響を受けにくいIT(情報技術)関連、
 巣ごもり需要を取り込む消費関連の企業が目立っている。
・たとえば、美容家電を手掛けるI-ne、
 クラウドによる安否確認サービスを運営するトヨクモ

 

コロナの影響で、ビジネス環境は一変しました。

当然ですが、IPO会社が展開するビジネスも
withコロナ、Afterコロナを前提にしたものになってくるでしょう。

 

逆に、withコロナ、Afterコロナに反するようなビジネスであれば、
IPO直前のステージに至っていたとしても、
戦略の練り直しが必要になっているものと思います。

そもそもIPOどころではなくなっている状況もあるでしょう。

 

直近のIPO株価

そして「直近でのIPO株価」の状況についても
日本経済新聞には以下のように伝えています。

・大規模な金融緩和・財政拡大を背景に新興企業に対する投資意欲が改善している
・初値が公開価格の倍以上になる例が相次いでいる
・2020年8月上場のインターファクトリーやニューラルポケットは公開価格の5倍を超えた
・2020年6月に上場したコパ・コーポレーションは足元の株価が初値より8割強高い

 

確かに、IPO市場に関らず、
相場全体が急回復してきました。

直近ではコロナ前の株価水準に戻った状況です。

 

そのなかで、当サイトでも以前にご紹介をした
インターファクトリー
ニューラルポケット
の2社については公開価格が5倍を超えた事例として
記事にも紹介されています。

確かにビジネス的にも期待が持てる会社であったり、
株式数等の兼ね合いもあるのだと思いますが、
好調な全体相場の恩恵もあったように思います。

 

今後の市場動向

最後に「今後の市場動向」については、
日経新聞記事では以下のように伝えられています。

・今後の市場動向を占う上で注目されるのが中・大型の案件の行方だ
・雪国まいたけの時価総額は約900億円にのぼる
・51%保有する米投資ファンドのベインキャピタルが保有株を売り出すため、
 公開株数の割合が4割と高い
・2020年10月6日には半導体メモリー大手の
 キオクシアホールディングス(旧東芝メモリホールディングス)が上場する
・時価総額は2兆円を超え、今年最大となりそうだ
・大型案件でもどこまで市場が吸収できるかが、
 今後のIPOの勢いを左右するとの声が市場では多い

 

安倍政権の終わりとともに、
新政権に向けて、株式相場も
いろいろと振り回されると思います。

但し、次期政権においても、
大規模な金融緩和・財政拡大といった路線は、
基本的には引き継がれていくと思いますので、
現状の好調なIPO市場も継続していくことを期待したいところです。

ということで、今回は直近のIPO市場の動向について、
日本経済新聞の記事をもとにお伝えさせていただきました。

 

 

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