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Vol.89【IPO事例】クリングルファーマ株式会社

  • 2021.1.8

新規IPO

2020年12月28日にクリングルファーマ株式会社(医薬品)
東京証券取引所マザーズに上場いたしました。

今回は同社から公表されている資料にもとづき、
IPOの状況を確認してみたいと思います。

 

上場時資料

■成長可能性に関する説明資料

https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS95837/5b7e8590/39e7/479f/92c7/aef7186d04b9/140120201222437746.pdf

■東京証券取引所マザーズへの上場に伴う当社決算情報等のお知らせ

https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS95837/f31343a9/448f/49f7/97f6/a257f5052475/140120201222437884.pdf

■新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)

https://www.jpx.co.jp/listing/stocks/new/nlsgeu0000054l4l-att/12KringlePharma-1s.pdf

 

成長可能性に関する説明資料

今回も前回の「株式会社ファンペップ」に引き続き
特殊な業種(バイオベンチャー)ということで、
内容も私には少しわかりづらいものですし、
簡単にだけ資料の作りのみ整理をしておきたいと思います。

 

資料としては、以下の構成となっています。
—————————
1. 会社概要
・マネジメントチーム
・当社の特徴
・再生創薬シーズ:HGF(肝細胞増殖因子)
・ビジネスモデル
2. 開発パイプラインの概要
・脊髄損傷急性期
・筋萎縮性側索硬化症(ALS)
・声帯瘢痕
・急性腎障害
3. 成長可能性
・知財戦略
・適応拡大による成長戦略
・当社のビジョン
4. Appendix
—————————

 

バイオベンチャーの特徴かと思いますが、
上場前からかなりの資金調達も実施していて、
他業種のIPOとは異なるかと思いますが、
社会には必要な事業だと思いますし、
IPOを起点に成長していけると良いのですが。

 

財務数値の特徴

まずはB/Sについては以下のような感じです。

 

資産・負債については
とくに特徴的なものはない印象です。

 

次にP/Lの方はどうでしょうか。

 

販管費の大部分が研究開発費とのことです。
売上もまだ立っていない状況です。

 

ただ、直近の2020年9月期は売上の計上があるようです。
2021年9月期の見通しでも売上計上はありますが、
一方でコストもかさみ10億円を超える営業損失を見込んでいる模様です。

IPOにより追加で資金調達したお金で
研究開発を加速させていくためだと思われますが、
早く収益化できるとよいのですが。

 

資本政策

■特別利害関係者等の株式等の移動状況

<有価証券上場規程施行規則第253条の規定>
東京証券取引所マザーズへの上場にあたり、
特別利害関係者等が、新規上場申請日の直前事業年度の末日から起算して
2年前の日(2017年10月1日)から上場日の前日までの期間において、
発行する株式又は新株予約権の譲受け又は譲渡を行っている場合には、
「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」に記載することとされています。

<コメント>
特別利害関係者等の株式等の移動が多いこともあり、
移動理由のみご紹介させていただきますと、
主に以下のような理由によります。

————————————————–
・ファンド期間満期による清算
・所有者の当社退職による譲渡
・個人的事情による譲渡
・A種優先株式及びC種優先株式の普通株式への転換 (取得条項の行使)
・B種優先株式及びC種優先株式の普通株式への転換 (取得条項の行使)
・A種優先株式の普通株式への転換 (取得条項の行使)
・C種優先株式の普通株式への転換 (取得条項の行使)
————————————————–

 

■第三者割当等の概況

第三者割当等も多いため、
以下にⅠの部より転載をさせていただきます。

バイオ銘柄ということもあり、
資金調達がすでに結構ありますね。

 

■株主の状況

・第1位:日本全薬工業株式会社 500,840株(12.12%)
・第2位:慶應イノベーション・イニシアティブ1号投資事業有限責任組合 470,460株(11.38%)
・第3位:DBJキャピタル投資事業有限責任組合 319,800株(7.74%)

■新株予約権の状況

・485,000株
・11.74%

■資産管理会社

・該当なし

■総括

・業種的な傾向だと思いますが、VCや関連会社で株主上位が占められています。
・代表者や取締役はごくわずかしか持株比率がありません。
 ※詳細は、以下の「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」参照
  https://www.jpx.co.jp/listing/stocks/new/nlsgeu0000054l4l-att/12KringlePharma-1s.pdf

 

監査報酬

上場直前の監査報酬の状況は以下のような感じです。

直前期の監査報酬で700万円程度となっており、かなり格安な感じです。
業種や損益状況が反映された政策的なものと思われます。

 

新規上場株価情報

●事業内容
・HGF(肝細胞増殖因子)タンパク質を用いた難治性疾患の治療薬の研究開発
●業種別分類
・医薬品
●株主名簿管理人
・三菱UFJ信託銀行㈱
●監査人
・EY 新日本有限責任監査法人
●幹事取引参加者
・野村證券㈱
●発行済株式総数
・3,647,700 株(2020 年 11 月 24 日現在)
●上場時発行済株式総数
・4,227,700 株
(注1)公募分を含む
(注2)新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。
●公募・売出しの別
・公募:580,000 株
・売出し(引受人の買取引受による売出し)-
・売出し(オーバーアロットメントによる売出し)87,000 株
●売出株放出元
・該当なし
●公募・売出価格
・1,000円
●初値
・1,480円 (公募価格比+480円 +48.0%)

 

 

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