記事一覧

Vol.116 事業再構築補助金と「事業計画」と「クラウド会計」

  • 2021.2.19

補助金について思うこと

最近話題になっている補助金で
「事業再構築補助金」
というものがあります。

ご存知の経営者さんも多いと思います。

 

この補助金については、
注目度も高く、クライアントも興味があるだろう、
ということでクライアントへ情報共有すると、
予想通り反応はとても良いです。

ただ実は、個人的には「補助金制度」について、
いろいろと疑問に思うことも多く、
基本的には距離を置いています。

これまでの個人的な経験ではありますが、
補助金漬けになって経営が変になっていった会社をいくつか見てきたので、
補助金と上手く付き合うのは、結構大変なことだという認識が強いからです。

 

当然、もらえるものは嬉しいとは思いますが、
補助金は麻薬みたいな要素があると感じていまして、
一度補助金をもらうと、その後、補助金中心で物事を考えたり、
補助金のためにグレーな方向に向かってしまう側面もあり、
相当、信念の強い会社でないとリスクもあると感じているところです。

また、多くの専門家が補助金制度をビジネス化していて、
成功報酬型で収益をあげるために制度自体をあおっている印象もあり、
そのあたりも何となくしっくりきません。

 

ということで、
個人的にはあえて補助金とは距離を置いていますが、
今回は、コロナの影響を受けている会社も多く、
事業再構築を考えている場合には、良い機会だと思い、
クライアントにも情報提供をしている次第です。

事業再構築補助金の詳細は、
いろいろ専門家が情報発信していると思いますので、そちらに譲るとして、
今回は、少しピンポイントで項目を取り上げてみたいと思っています。

 

補助対象経費

まず、事業再構築補助金の
補助対象となる経費ですが、
このあたりは気になるところかと思います。

先日、中小企業庁から公表された資料によると
—————————————–
・本補助金は、基本的に設備投資を支援するものです
・設備費のほか、建物の建設費、 建物改修費、撤去費、システム購入費も補助対象です
・新しい事業の開始に必要となる研修費、広告宣伝費・販売促進費も補助対象です
—————————————–
とあります。

 

一般的なこれまでの補助金と比べても
補助対象の範囲が広い印象を受けます。

具体的は、
——————————————————————-
●建物費(建物の建築・改修に要する経費)、建物撤去費、設備費、システム購入費
●外注費(製品開発に要する加工、設計等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)
研修費(教育訓練費等)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)
●リース費、クラウドサービス費、専門家経費
——————————————————————-
といったあたりが対象になるようです。

 

本業である主要経費については当然ですが、
個人的に気になったのは、
「クラウドサービス費」
「研修費」
といったあたりでしょうか。

当サイトでも一押しの
「マネーフォワード」
もクラウドサービス費になる気がします。

 

今回のような補助金の場合、
どうしても売上を作っていく「攻めの経費」の方へ
目が向きがちだと思いますが、
その裏できちんと守りを固めておくことも、
経営者として重要な課題だと感じています。

その点で、
「攻め」のための投資を前提としつつも、
是非、それを支える経営管理のための投資も検討いただいても
良いのではないかと思っています。

 

企業継続、企業成長を前提とすると、
どちらも大切な投資ですので。

 

事業計画の策定

次に、事業計画の策定についてです。

こちらについては、
——————————————————–
・補助金の審査は、事業計画を基に行われます
・採択されるためには、合理的で説得力のある事業計画を策定することが必要です
・事業計画は、認定経営革新等支援機関と相談しつつ策定する
・認定経営革新等支援機関には、事業実施段階でのアドバイスやフォローアップも期待されている
——————————————————–
とあります。

 

そして、具体的に
事業計画に含めるべきポイントの例としては、
以下のようなことが挙げられています。

——————————————-
●現在の企業の事業、強み・弱み、機会・脅威、事業環境、事業再構築の必要性
●事業再構築の具体的内容(提供する製品・サービス、導入する設備、工事等)
●事業再構築の市場の状況、自社の優位性、価格設定、課題やリスクとその解決法
●実施体制、スケジュール、資金調達計画、収益計画(付加価値増加を含む)
——————————————-

 

事業計画については、
いろいろな考え方もあると思います。

参考になる事例もいろいろ出回っているとは思いますが、
当サイトに興味を持っていただいた経営者は、
将来IPOを目指したり、企業成長を目指している会社だと思いますので、
是非、以下の「成長可能性の資料」を参考にされても良いと思います。

IPO事例/成長可能性

 

補助金のための資料としては、
上記の「成長可能性の資料」のようなビジュアル資料というより、
文章や数値が多い資料になるかとは思います。

但し、そのような資料を作る前提として、
「成長可能性の資料」のようなものを
普段の経営活動のなかで作成していれば、
経営にも活用していくなかで、
今回のような補助金のような場合にも自然と、
転用活用できることになります。

 

また、いろいろなビジネスの場面、
たとえば、営業の場面、借入の場面、投資家へのプレゼンの場面、
といったときにも必要になるものだと思いますので、
普段から基礎になる資料を作成しておくとよいのではないかと思います。

当然、社内への説明をするうえでも
有用な資料になると思いますので。

 

雑感

先ほども記載しましたが、
個人的に補助金ビジネスは好みません。

但し、コロナの影響もあった昨年から
企業存続のために資金ニーズが高いクライアントも多く、
支援してあげられないと困ると思い、
私も認定支援機関の申請・登録をしました。

今回の事業再構築補助金も
認定経営革新等支援機関のサポートが必須になっていることから、
いざというときにクライアントを支援できる状況を作っておけた点では、
認定経営革新等支援機関の登録をしておいてよかったです。

 

ただ、少し悩む場面も出てきました。

 

事業性構築補助金について
クライアントへ情報共有したところ、
「認定経営革新等支援機関としてのサポート報酬はいくらくらいですか?」
との質問が早速きました。

これまで補助金ビジネスと距離を置いてきた私としては、
少し悩む場面です。

 

個人的にもしっくりこないのですが、
一般的には10%程度の成功報酬が多いとも聞きます。

補助金の金額に応じて、
成功報酬というのは、なんか変な気もするのですが・・・。

 

顧問契約のあるクライアントであれば、
通常の支援の延長でもよいのではとも思ったりもしつつ、
とはいえ、採算的に厳しい顧問料の会社については、
やはり作業負荷分は報酬設定をしないと対応自体が難しい面もありますし。

いっそのこと、国の方で、
認定経営革新等支援機関のサポート報酬とかを決めてもらった方が、
こちらもわかりやすく、かつ、
専門家が補助金ビジネス化しているこの現状も変えられる気がするのですが・・・。

 

いずれにしても、
私個人として補助金制度への距離感を保ちつつ、
報酬に対する考え方も整理しなければ、
と感じている今日この頃です。

 

ただ、事業計画づくりはとても好きなので、
このような機会にクライアントと向き合いながら
事業計画をつくれればというのが、個人的な思いではあります。

その延長線上で、
補助金にトライしたい場合はトライをすればよいと思いますし、
その他、経営の現場でも活用してもられえれば、といった感じです。

 

 

関連記事

最近の投稿