月次決算における分析
会社の動きを把握したいときに、
どのような分析をすればよいのでしょうか?
経営者におすすめな分析手法は、
ずばり「月次推移表」です。
個人的には、この月次推移表が、
会計に関する分析資料の中で最強といっても過言ではない、
と感じることも多く、今回は「月次推移表」について、
お伝えできればと思います。
なぜ「月次推移表」が最強かというと
会計数値を活用したもののなかには、
いろいろな分析指標や分析資料があると思いますが、
私の中では「月次推移表」は、
経営者にとって欠かせない資料だと思っています。
というのも、
会計数値にはあまり興味がなさそうな経営者であっても、
私が月次推移表を用意して、お見せすると、
例外なく、食い入るように凝視をして、考え込んだり、
質問がでてきたりする状況が、ほとんどだからです。
私自身もクライアントの動きを把握する際に
月次推移表は重宝していますが、
実際に、経営者が一番興味を持たれる資料が月次推移表であることから、
この「月次推移表」は最強の分析資料なのではないか、
と感じるようになりました。
月次決算の数値を、ただ、月別で並べた表で、
とてもシンプルな表なのですが、
その威力は絶大なのです。
あまり凝った分析資料より、
このようなシンプルな分析の方が、
すぐに頭に入ってくるものなのだと思います。
P/L月次推移表
月次推移表には、大きく分けて、
B/S(貸借対照表)とP/L(損益計算書)の
2つについての推移に分けられます。
このうち、まず興味をもたれるのは、
やはり損益の月次推移である「P/L月次推移表」でしょう。
決算書や試算表といったデータも、当然、重要なデータなのですが、
ある一定の時点で止まった感じの数字に見えて、
日々の経営とのつながりが意外とわかりづかったりするものです。
一方で、損益の月次推移を経営者が見ると、
1年間の活動の記憶と、定量的な結果である損益の月次推移が、
ちょうど良い感じで比較することができるからだと思いますが、
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「たしかに、3月は●●だったから、このとおりですよ」
「この半年は、こんな感じの波がありましたが、その通りに数字に表れますね」
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といった言葉を、経営者からはよく聞くことができます。
経営者としては、
ご自身の感覚と、会計の客観的データとを
すり合わせができることで納得感を得たり、
逆に違和感を感じたりすることができ、
良い意味で安心するのだと思います。
私自身の事務所の業績を確認する際にも
私もまずは月次推移を確認するのですが、
月次推移表を見ていると飽きません。
納得することが多く、かつ、
振り返りながらいろいろと気づけることが多いので、
次の戦略を考えたりすることにもつながっていきます。
B/S月次推移表
一般的には、損益の月次推移がメインだと思いますが、
たまには「B/Sの月次推移」を見てみるのも面白いものです。
とくに普段見ているB/S(貸借対照表)は、
ある一定時点の資産・負債の明細ですので、
静的(ストック)な情報となります。
これを「月次推移」の形として見てみると、
資産・負債に動きをつけることができ、
ここでも新たな気づきがでてくるものです。
たとえば、
在庫が増加している場合に、
月々の動きをつけることでより実感をもてたり、
不明な資産や負債が膨らんできていることに気づけたり、
月次推移の形にすることで発見できることも少なくありません。
経営者には、是非、
B/Sの月次推移の方も確認をしてみていただきたいと思います。
C/F月次推移表
さらにもう1歩進んで、
キャッシュ・フロー(C/F)の月次推移なども用意できると、
経営者としては、いろいろと気づけることも増えてきます。
P/Lの月次推移とB/Sの月次推移があれば、
C/Fの月次推移も作成することができます。
このC/Fの月次推移を見ることで、
資金繰りの動きが本当に理解できるようになります。
一口に「お金」と言っても、
実は、お金にはいくかの「色」がついています。
営業活動で獲得したお金なのか、
投資活動で使用したお金なのか。
もしくは、資金調達等の財務活動で増減したお金なのか。
このような「お金の動き」に色を付けて、
それを月次で並べた月次推移の形で見ると、
経営者としても会社のお金の流れが
本当によく見えるようになると思います。
ですので、
是非、月次推移を作成する際には、
この「C/F月次推移」についても確認できる仕組みを
経営者としては構築したいものです。
月次推移表を出すためには「月次決算」が必須
ということで、今回は、
「月次推移表」
についてお伝えさせていただきました。
経営者であれば、
絶対欠かせない分析資料になると思いますので、
経営分析をする際には、是非、
この月次推移表を組み込んでもらいたいと思っています。
但し、1点、重要ことがあります。
ということです。
月次決算ができているからこそ、
月次の数値を見ることができ、
それを並べて表現することができますので!
月次推移表で分析をしたいときには、
まずは「月次決算」がタイムリーかつ正確に実施できるように、
きちんと社内整備をしておいていただく必要がありますので、
その点もあわせて、是非検討をして見ていただければと思います。