目次
月次決算とは
企業経営における「月次決算」の重要性について、
経験している経営者は、
「月次決算は経営の基本だよ」
と誰もがおっしゃいます。
一方で、会計数値を重視していない経営者は、
月次決算の意義や必要性について全く意識していません。
企業の成長ステージにもよりますし、
経営者の過去の経験の違いによって
会計数値を意識する習慣があるかどうかは大きく異なります。
月次決算は、法律上の義務ではなく、
あくまで会社ごとの経営管理の仕組みとして、
どこまで実施すべきかという武器なので、
経営者によってスタンスは変わるのは仕方がありません。
ただ1つ言えるのは、
ということです。
そうであれば、
「すべての経営者が取り組むはずなのでは?」
と思われるかもしれませんが、
ただ唯一のマイナスがあり、そこをどう考えるかで、
月次決算に取り組むか、取り組まないかの
経営者としての判断の違いが出てくる気がします。
月次決算のデメリットとは?
月次決算をすることのデメリットとは、
どのようなことでしょうか?
これは、ずばり、
ということです。
ここでいうコストとは、
月次決算のために社員の時間が割かれる
ということです。
また、状況によっては
税理士への支払額が増える、
といったようなことかもしれません。
そのため、
月次決算を実施するための投資コストを上回る効果について、
経営者がきちんと納得できていない状況では、
あえて月次決算をしようという流れにはならないのだと思います。
個人的には、
月次決算を実施することのメリットを考えたら、
多少のコストをかけてでも、
経営者としては月次決算に取り組まないという選択肢は
とりづらいのではないかと思っています。
ただ、このあたりは、
具体的に検討いただいた方がよいと思いますので、
「経営者にとっての月次決算のメリット」
について以下に改めてまとめてみたいと思います。
月次決算のメリット
経営者にとって、
月次決算の仕組みをきちんと構築することのメリットは、
どこにあるのでしょうか?
大きなテーマから小さなテーマまで、
挙げだすときりがないのですが、
そのなかで以下の4つを挙げてみたいと思います。
1つずつ簡単に補足をさせていただきたいと思います。
①客観的な会計数値をもとに経営状態を月次で把握できること
これは説明の追加は不要かもしれませんが、
月次決算をすることで、少なくとも月次ベースで
会社の現状を客観的に把握できるようになるというメリットです。
企業経営の中では、
いろいろな業務があると思いますが、
そのサイクルとして「月次ベース」で考えるというのは、
一番わかりやすく、かつ、現場業務に馴染むといえます。
請求書の発行も月次ベースで考えることが多いですし、
給与計算も月次ベースで普通は実施すると思います。
また、支払いも月次ベースで締めがあって、
振込を行うことが多いと思いますし、
経費精算もやはり月次ベースで実施することが
多いのではないでしょうか。
売上目標や予算といった点も、
やはり月次ベースで考えることが一般的に多いです。
このように、
人間行動のなかで「月次」でのサイクルは、
とても根付いていることから、
中途半端なサイクルで決算をやるより、
月次サイクルで決算を実施することは実務上やりやすいですし、
しっくりくる面が多いです。
きちんと月次決算を実施して、
月次の現状を客観的な会計数値をもとに、
経営者として認識でできれば、
より適切な経営判断ができるはずです。
経営者としての感覚もとても重要ですし、
その感覚は結構正しいと思いますが、
会社規模が大きくなると全体が見えづらくなるので、
月次決算数値を見たうえで、ご自身の感覚と実態があっているかの
答え合わせをきちんと実施しておくことも大切だと思います。
そして、月次決算の延長線上には、
たとえば、週次での決算を見据えたり、
一方で、年度決算の見込みを検討し対策を打ったり、
ということが次なる可能性として出てきます。
このように考えると、
月次決算に取り組むことで、
経営判断の精度とスピードが上がるのは間違いありません。
PDCAサイクルも速く、正確に機能していくでしょう。
②月次決算に取り組むプロセスで会社が成長すること
次にあげたいのは、
「月次決算に取り組むという行為自体が、とても重要である」
ということです。
月次決算を実現するためのプロセスにも
経営者には是非、目を向けていただきたいと思っています。
ここで、もし
・月次決算=経理の仕事
・月次決算=税理士の仕事
というお考えを持たれているようであれば、
今すぐにこの考えは捨ててもらいたいと思っています!
具体的には、
成長企業における月次決算においては、
という考えに変えていただきたいと思っています。
この考え方は、
当サイトでもいろいろなところで記載していますが、
経営者にとってはとても重要なマインドセットです。
月次決算のプロセスにきちんと経営者が積極的に関与し、
全社員が協力しながら月次決算数値を作り上げることこそが、
全社一丸で成長していく会社には、とても重要な機会になるでしょう。
営業担当であれ、マーケティング担当であれ、
どのような立場の社員であっても、
月次決算から学べることはたくさんあります。
ビジネスマンとしての基礎力向上にもつながりますし、
数値に強い社員が育っていきます。
社員同士の横のつながりも強化されますし、
個別最適ではなく、全社最適な視点で、
多くの社員が会社のことを考えてくれるようになります。
ただ単に月次決算をするというのではなく、
経営者として「戦略的に月次決算を活用する」という考えを
是非、意識していただきたいと思っています。
③外部からの社会的信用が得られること
3点目として挙げているのが、
「外部からの社会的信用」
という点です。
それなりの企業は、
月次決算は当然のこととして実施していますし、
数値で論理的に語れることが
ビジネスの基本として備わっています。
当然、銀行から借入をするような場合にも
きちんと会計数値で説明することになります。
このような外部のステークホルダーと
きちんとしたビジネス関係をもち、継続し、発展していくためには、
社会的に信用してもらうことは不可欠です。
その際に、
月次決算できちんと自社の現状を把握できているかどうかは、
とても重要な要素になってきます。
金融機関に、きちんと月次数値を報告できれば、
それだけで信用度が格段にあがりますので、
次の融資が必要な時に有利になったり、
苦しい時には信用してもらい、助けてもらえれます。
また、取引先と交渉をするにあたっても、
感覚的な視点での会話ではなく、
自社の実態をリアルタイムに把握して、
論理的に会話できれば信用につながり、
交渉が上手くいく可能性が高くなるでしょう。
私自身としても、
月次決算をしている経営者と、
月次決算をしていない経営者がいらっしゃった場合に、
あきらかに最初の時点の印象が変わってきます。
レベルが高い経営者と仕事をしようと思うと、
会計数値をきちんと理解しているかどうかは、
経営者として、結構判断ポイントにされることがあると思います。
そう考えると、
経営者として月次決算に取り組む意義は、
とても高いと思います。
④会社のなかでの社員の規律が保てるようになること
最後に、あげたい月次決算のメリットとしては、
「社員の規律を作るための効果」
についてです。
月次決算をするということは、
月次できちんと「締め」をしていくことです。
この「締め」という概念はとても重要です。
私もいろいろな会社を見てきましたが、
「月次締め」のルールがあり、きちんと徹底されている会社は、
やはり経営が上手くいっています。
社長が言ったことをきちんと社員が守る風土がありますし、
社員同士の約束も守る風土があります。
この根底にあるのは、
きちんと月次ベースで締めをして、
月次決算を実施できているかどうかと
密接な関係があると感じています。
月次決算をするには、
誰か1人がルールを守らないと、
期限通りに数値ができあがらないものです。
このことは、つまり、
ということを意味します。
これは、経営者にとっては
とても意味のあることではないでしょうか?
「うちの社員はルーズで・・・」
このような発言をされる社長も多くいらっしゃいますが、
このようなルーズな点を解決して、
規律ある会社にするには「月次決算」を活用することが、
とても有用だと考えています。
また、そのためには、
企業トップである社長が自らが、
率先して月次決算に取り組む意志を見せることが
重要になると言えます。
月次決算をきちんと実施して、規律ある会社になれば、
今後の在宅ワーク・リモートワーク時代においても、
経営が楽になるはずです。
まとめ
ということで、今回は
「月次決算のメリット」
についてお伝えしてみました。
このサイトでも、
何度かお伝えしている内容の繰り返しになったかもしれませんが、
とても重要な内容なので、今回も記載をしてみました。
是非、経営者として「月次決算」を
経営に上手く活用してみていただきたいと思います。
きっと、月次決算数値が
毎月出てくるのが楽しみになってくると思います。