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Vol.24 社長として「請求書完全電子化」をどう考える?

  • 2020.7.31

昨日の日経新聞より

昨日の日本経済新聞の一面に
「請求書の完全電子化」
に向けての記事が掲載されていました。

その記事内容としては、
「企業間でやりとりする請求書の完全なデジタル化に向け、
 データ仕様を統一する取り組みが始まる」
といった内容です。

 

もう少し掘り下げてご紹介しますと、以下の通りです。

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●政府とソフトウエア企業など約50社が近く協議を開始し、
2023年までに導入をめざし、会計や税に関する作業を効率化し生産性を高める。

●日本のデジタル化は海外に比べて遅れていて、非効率な作業が多いと競争力に響く。

●欧州連合(EU)は2008年に請求書や受発注などの電子取引文書の仕様を決めた。
スウェーデンやデンマークなどは政府と企業間の請求書のデジタル化を義務付け、
イタリアは2019年に企業も含めてすべて義務化した。
米国は業界で仕様が異なるものの、政府の電子調達ではデジタル請求書の発行を推奨している。

日本の場合、発行する請求書は通常、紙の書類の郵送やメールで請求先に届け、
受け取った企業は自社のシステムの仕様に合わせてデータを入力し直す必要がある。

●仕様が同じメーカーのソフトを導入していないと請求書データは
自動的に会計システムと連携せず手間がかかる。

●大企業では業界内で同じ仕様の活用が進むものの電子で完結する取引先は2割程度。
中小ではデジタル対応自体をしていない企業も多い。

2023年10月からはインボイス制度が始まり、特に中小企業の負担が高まる見通し。

●このようななか、政府と民間のシステム・ソフト会社が協議会を立ち上げた。
弥生会計や勘定奉行などの会計システムを販売する約10社が参加する。
クラウドで書類サービスの米トレードシフトも加わり、海外との取引でも使いやすくする。
協議会は最終的には約50社の参加を見込む。

請求書データの入力・参照を各企業がクラウド上で進められるシステムを開発し、
取引先への入金や領収書作成を自動的に進める機能も加える。

紙保存を不要にする規制緩和はすでに実施されており仕様の統一でデジタル化が進む。

●企業は現在1枚の請求書に人件費やシステム費用で650円以上をかけている。
デジタル化で100円程度に抑えられそうだ。

●中小向けに月数百円程度で使えるクラウドサービスも開発し政府は導入費用の補助を検討する。
オンラインで可能な税務申告や、雇用保険、年金保険など行政向けの書類作成とも連動する。

●協議会が年内にも共通仕様を固め、22年秋から順次サービスを始める。

●新型コロナウイルスの拡大を受け企業で在宅勤務の取り組みが広がっている。

●紙の書類のやりとりが壁になるケースもあり、デジタル化の推進が急務となっている。

(以上、2020年7月30日日経新聞記事より引用・文章加工)
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ちなみに上記の記事で気になったのは、
マネーフォワードやfreeeといった
クラウド会計領域のトップ2の名前が無かった点でしょうか。

表示されていない中で社数の中には入っているのかもしれませんが、
クラウド領域で先行している両社が入っているかどうかは気になるところです。

 

日経新聞の内容をどのように感じるかが重要

この記事を見て、どのように感じられましたでしょうか?

記載されている内容自体には、
多くの社長にとって、とくに異論はないと思います。

 

ただ、個人的には、
政府のこのような取り組みについては、
今のところ期待は半分くらいに感じています。

というのも、
このような政府の動きには
スピード感がなかなかついてこないことが多いからです。

 

また、2022年秋から順次サービスを始めるとありますので、
今から考えると2年後です。

少しずれこむこともう想定すると、
2023年くらいからになることが考えられ、
下手をすると3年後とかになります。

 

そのころの法制度や仕組みがどうなるかは正直分かりませんが、
このような3年後に期待するような社長は注意が必要です。

なぜかというと、
同様なことを実現するための取り組み自体は、
今からでも、できるところから始めればよいからです。

 

政府の動きで、今後良い仕組みができれば、
そのときはそのときで良い仕組みを活用すればよいのですが、
「それまで待っていよう」というスピード感では、
そもそもの経営スピードが心配になります。

今やいろいろなツールがある時代です。
マネーフォワードもそうですが、
いろいろあるツールをもとに、業務の仕組みを考えることこそ、
社長の重要な役割なのではないかと思っています。

 

ちなみに、
私は、組織内のあらゆる業務を見える化して、
いろいろなやり方、ツール、考え方を組み合わせることで、
合理化・効率化するようなことが大好きです。

私は仕事柄、普段からそのようなことを考えますが、
社長であれば、是非、自身の会社の組織デザインや
業務工程の設計図を作るべきだと思いますし、
そうすることで、自分が見たい感じで組織内を見える化できると思います。

 

経営者として確認しておきたいワード

ところで、
日経新聞の記事の中で出てきたワードについて、
気になる点や経営者としては押さえておきたいワードがありましたので、
以下にコメントをさせていただきます。

今回は以下のようなことがあるだけでも
経営者として確認をしておいてもらえればと思います。

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①インボイス制度

2023年10月から始まる新たな制度です。

これまで請求書については各社が自由に作成していましたが、
今後のインボイス制度に対応するためには、
事前に税務署へ登録をすることで割り当てられる事業者登録番号を
請求書へ記載する必要があります。

この事業者登録をしていないと、
得意先側で消費税を控除できない等の不利が生じるため、
取引をしてもらえなくなる可能性が高くになります。
意外と大きな制度改正といえるでしょう。

 

②紙の保存を不要にする規制緩和

いわゆる「電子帳簿保存法」のことを指していると思います。

現在は、税法ルールで、請求書や領収書は原本保存が原則となっていて、
勝手に破棄することはできません。

但し、一定の要件を満たせば、スキャンしたデータだけ保存できる制度があり、
これが「電子帳簿保存法」や「スキャナ保存」といわれる制度です。

適用には少しハードルがありますが、
スピード・合理化を求めるMF社長には、是非チャレンジしてもらいたい制度です。

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MF社長がやるべきこと

今回は日経新聞の記事内容をベースに
ご説明をさせていただきました。

マネーフォワードを最大限利用して
スピード会計の実現や効率化を目指すMF社長には、
是非、以下のことを考えてみていただきたいと思っています。

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政府の動きを待たずに、今すぐに、
社長自らが「請求書の完全電子化」の仕組みを
を考えて実践をしてみる!
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いろいろなツールも駆使しながら、
業務のやり方、組織の在り方、業務工程の見直し、
といった組織改革をするのは、
まさに社長の仕事であるべきだと思っています。

頭を使って疲れますが、とても面白いですよね。

 

 

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