【2025年最新】マネーフォワード クラウド経費導入メリット・他サービス比較

マネーフォワード クラウド経費は、企業の経費精算をクラウド上で効率化するサービスです。2024年の調査では、経費精算システム市場で導入シェア2位(17.36%)を占めるなど、国内でトップクラスの普及率を誇ります。

同サービスを含むマネーフォワードの法人向けクラウド製品群は15万社以上の企業が利用しており、中小企業から大企業まで幅広い規模・業種で導入が進んでいます。2024年1月の電子帳簿保存法改正で電子取引データの紙保存が原則禁止となったこともあり、経費精算のデジタル化・ペーパーレス化はますます重要性を増しています。

本記事では、2025年8月時点での最新情報に基づき、マネーフォワード クラウド経費のメリット・デメリット、主要な経費精算ツールとの比較、電子帳簿保存法への対応状況、導入事例などを解説します。

BOXILサイトより引用(https://boxil.jp/mag/a1420/
目次

マネーフォワード クラウド経費のメリット

マネーフォワード クラウド経費には、経費精算業務を効率化し内部統制を強化するさまざまな利点があります。主なメリットを以下にまとめます。

  • 豊富な機能とモバイル対応
    スマートフォンの専用アプリから領収書を撮影・アップロードするだけで経費申請が可能で、場所を選ばず完結します。AI-OCRによる自動読取機能や交通系ICカード連携にも対応しており、手入力の手間を大幅に削減できます。特にモバイルSuica/PASMOの利用履歴取込にも対応している点は強みで、交通費精算がスムーズになります。

    また申請・承認画面はスマホに最適化された見やすいUIで、直感的に操作できます。
  • 他のマネーフォワード製品との連携
    同社の会計ソフト「マネーフォワード クラウド会計」や給与計算・勤怠管理ソフトなどとのデータ連携がシームレスに行えます。例えばクラウド経費で承認された精算データはワンクリックで仕訳データとしてクラウド会計に送信でき、他社システムを組み合わせる場合に比べ設定も容易です。

    マネーフォワード クラウド会計利用企業にとって、クラウド経費は最有力の選択肢となるでしょう。またクラウド給与・人事労務とも連携可能で、経費精算額を給与支給に反映させることも簡単です。
  • 中小企業に優しい料金体系
    初期費用0円ですぐに始められ、少人数であれば月額数千円規模から利用できます。例えば利用者5名までの「ビジネスプラン」は年額契約で月額6,480円(税抜)から利用可能です。6名以上でも1名あたり500円の従量課金(アクティブユーザーのみ課金)で追加できるため、経費申請しなかったユーザーは料金がかからない仕組みになっています。

    このため、利用頻度に応じて無駄なくコストを抑えられる点は中小企業にとって大きな利点です。
  • 電子帳簿保存法への万全な対応
    後述するように、マネーフォワード クラウド経費は電子帳簿保存法の要件を満たす機能を備えています。スマホ撮影した領収書画像にタイムスタンプを付与したり、検索・監査用項目を自動付加したりすることで、紙の原本を破棄して電子保存する「スキャナ保存」に対応しています。

    また、電子取引データの保存要件にも対応しており、経費精算ソフトとして国内第1号のJIIMA認証(スキャナ保存ソフト法的要件認証・電子取引ソフト法的要件認証)も取得済みです。これにより改正法対応の不安を解消し、ペーパーレス経理を安心して実現できます。
  • 業務効率化と従業員の利便性向上
    経路検索連携による最適経路・運賃の自動入力、社内規定違反の自動チェック、不備のある申請の差戻し機能など、経費精算業務の効率化につながる機能が充実しています。申請者にとっては、領収書貼付やエクセル入力の手間が省け、キャッシュレスで即時に精算額を受け取れる(リアルタイム振込等)仕組みも用意されており利便性が高いと評価されています。

    経理担当者にとっても、紙・現金を扱う作業が減りチェック業務が大幅に軽減します。

マネーフォワード クラウド経費のデメリット

一方で、マネーフォワード クラウド経費には留意すべき点やデメリットもいくつか指摘されています。

  • OCR精度への不満
    領収書読取のOCR機能について、ユーザーからは「読み取り精度が今ひとつ」とする声もあります。手書き領収書や複雑なレシート明細では誤認識が発生し、結局手修正が必要になるケースもあるようです。

    他社も同様の課題はありますが、紙帳簿廃止で電子データ化が増える中、OCR精度向上は引き続き期待されます。
  • 電話サポート非対応
    マネーフォワード社はチャットボットやFAQによるサポートは提供していますが、電話でのサポート窓口が用意されていません。導入初期に直接相談しながら設定したい企業や、トラブル発生時にすぐ人と話したい場合には不安材料となりえます。

    サポート体制を重視する場合、後述するように導入支援が手厚い他社サービス(例:楽楽精算など)も検討すると良いでしょう。
  • 一部機能利用に追加料金
    基本プラン(チームプラン~ビジネスプラン)で利用できる機能は豊富ですが、より高度なワークフロー設定や電子帳簿保存法対応機能をフルに使うには有料オプションの「コーポレートプラン」(1ユーザーあたり月額200円追加)への加入が必要です。

    大企業向けのエンタープライズプランも別途用意されていますが、これらは個別見積もりとなります。そのため、規模が大きく複雑な要件を持つ企業では費用が割高になる可能性があります。
  • カスタマイズ性では他社優位の場合も
    マネーフォワード クラウド経費は中小企業向けに使いやすさを重視しており、画面や項目の自由なカスタマイズは必要十分ですが、社内ルールに合わせた細かな設定自由度では「楽楽精算」などに一歩譲るとの指摘もあります。例えば経費科目や承認フローの複雑なカスタム、独自のレイアウト反映などは、楽楽精算の方が柔軟だと評価されています。

    自社の経費精算規程をシステムにそのまま落とし込みたい場合、どの程度まで対応できるか事前に確認すると良いでしょう。

以上のように、マネーフォワード クラウド経費は多機能で利便性が高い反面、サポート体制や一部機能の面で課題もあります。

ただし総合的には機能充実度とコストパフォーマンスのバランスに優れた経費精算システムと評価されており、自社の規模・ニーズに合致すれば有力な選択肢となります。

主要な経費精算ツールとの比較

経費精算システムはマネーフォワード以外にも多数存在しますが、代表的なものとしてfreee経費精算(freee支出管理 経費精算Plus)」「楽楽精算」「Concur Expense(SAP Concur)などが挙げられます。

それぞれ特徴が異なり、価格体系や使い勝手、法令対応状況、他サービス連携といった観点で比較検討が必要です。ここでは主要ツールについて、価格, 使いやすさ(UI/UX), 電子帳簿保存法対応, 外部サービス連携の項目ごとに比較します。

価格(料金プラン・コスト)

各サービスの料金プランはユーザー数や機能範囲によって異なります。以下に主なサービスの価格感を比較できる表を示します。

サービス名           初期費用(税込)        月額費用(税込)の目安(※)               備考・特徴
マネーフォワード<br>クラウド経費0円
※大企業プランは要問い合わせ
6,480円~/月(年額一括・5名まで)
※6名以上は1名あたり500円追加
5名まで基本料金内。6名以上は従量課金(当月未利用者は課金対象外)
freee経費精算Plus要問い合わせ7,500円+650円×ユーザー数/月
※50名以上600円、100名以上550円に割引
freee会計と連携可能。アクティブユーザー課金(未使用アカウントは無料)
楽楽精算100,000円~30,000円~/月
※ユーザー数により増減。詳細は都度見積もり
高機能・高カスタマイズ性。初期費用ありだが導入支援が手厚い
Concur Expense0円約50,000円~/月
※利用規模やオプションにより大幅変動
グローバル向けエンタープライズ製品。出張予約システム等と統合可能で高機能

※価格は2025年時点の情報。ユーザー数や契約形態により変動する場合があります。

上記のように、マネーフォワードfreee小~中規模向けに手頃な従量課金制を採用しており、基本料数千円+ユーザー課金という形です。特にfreeeは50名以上でユーザー単価が下がるディスカウントもあり、人員拡大時のコスト増を抑制できます。

楽楽精算初期費用10万円が発生しますが、その分導入時のサポートが充実しており「専任担当の伴走支援」など手厚いフォローがあります。月額費用は最低3万円程度からとやや高めですが、50~100名以上の中堅企業で多く利用されています。

Concurは明確な価格表を公開しておらず要見積もりですが、一般的な利用規模では月数十万円規模になるケースが多く、大企業向けの高価格帯サービスと言えます。

使いやすさ(UI/UX・導入のしやすさ)

マネーフォワード クラウド経費・freee経費精算
比較的新しい国産クラウドサービスだけあって画面デザインが洗練されており、スマートフォンアプリの使い勝手も良好です。経費申請から承認まで直感的に操作でき、中小企業の現場スタッフでも受け入れやすいUIとなっています。また、freeeは会計ソフトで培ったシンプル設計を経費精算にも展開しており、「迷わず入力できる」「操作マニュアルを見なくても使えた」といった声があります。両者ともクラウドサービスのため導入はウェブ上で登録するだけで開始でき、初期設定も比較的簡単です。無料トライアル期間も提供されているので、自社環境で操作感を試すことができます。

楽楽精算
10年以上の提供実績がある老舗ですが、機能が豊富な分、初期設定項目も多岐にわたります。ただその点は導入時に専任スタッフがヒアリング・設定支援してくれるため、ITリテラシーが高くない企業でも安心して運用を開始できます。UIは近年刷新が進み、ウェブブラウザからの操作感も向上しています。スマホアプリも提供されていますが、マネーフォワードやfreeeと比べると若干画面が業務システム的で、若手社員などには堅く感じる場合もあります。しかし「画面を自社用にカスタマイズできる範囲が広い」メリットもあり、入力項目名やレイアウトを自社用語に合わせることも可能です。

SAP Concur(Concur Expense)
グローバルスタンダードなシステムで、多言語・多通貨対応、出張手配システムとの統合、AIによる経費不正検知など機能面は非常に充実しています。その反面、システム全体が大規模企業向けに作られているため、設定や運用ルールの設計に専門知識が必要です。導入にはコンサルタントの支援を受けるケースも多く、中小企業がいきなり使いこなすのはハードルが高めです。ただしUI自体は洗練されており、モバイルアプリからレシート写真を送るだけで経費登録できるなど基本操作は簡便です。世界中で使われている実績から、UIのユーザビリティテストも重ねられており、英語圏のスタッフが多い企業や海外出張の多い企業では使いやすいとの評価があります。

電子帳簿保存法への対応状況

電子帳簿保存法(電子取引データ・スキャナ保存・電子帳簿等保存への対応)は、現代の経費精算システム選定において重要なポイントです。

主要サービスはいずれも法改正に合わせて機能を拡充しており、概ね以下の対応状況となっています。

  • マネーフォワード クラウド経費
    スキャナ保存要件・電子取引要件を満たす機能を実装済み。JIIMA認証(電帳法対応ソフト認証)を業界でいち早く取得し、税務署への事前承認なしで電子化運用が可能です。領収書画像にはタイムスタンプ付与や改ざん検知がなされ、従業員が申請時にスキャナ要件チェックリストを確認できる仕組みで要件漏れを防ぎます。

    ただし、会計帳簿そのものの電子保存(青色申告特別控除の65万円要件)についてはクラウド経費単体では対象外であり、それはクラウド会計ソフト側で対応しています。
  • freee経費精算
    freeeもマネーフォワード同様に電子帳簿保存法対応機能を全プランで提供しており、JIIMAのスキャナ保存・電子取引ソフト認証を取得しています。freee会計と組み合わせることで、証憑の電子保管から優良な電子帳簿(電子帳簿等保存)まで幅広く網羅可能です。

    領収書のスマホ撮影OCRや、タイムスタンプ一括検証機能、検索キー自動付与なども備えています。また、紙の証憑受領を代行入力するオプションサービス「受取請求書アシスト」もあり、紙原本廃棄の運用をサポートしています。
  • 楽楽精算
    楽楽精算も当然ながら電子帳簿保存法に対応しており、JIIMA認証取得済みの経費精算システムです。タイムスタンプ付与・検索機能・一括検証機能などペーパーレス運用に必要な機能が実装され、「電子帳簿保存法対応社数No.1」を謳うだけに多くの企業で電子化運用の実績があります。

    法改正にも迅速に対応しており、「楽楽精算ひとつで法要件対応が完結する」と公式にアピールしています。
  • Concur Expense
    SAP Concurも早くから日本の電帳法対応を進めており、2019年にスキャナ保存ソフト法的要件のJIIMA認証を取得済みです。電子署名サービスとの連携や、監査証跡の堅牢さには定評があります。電子取引データの保存にも対応しており、領収書画像と経費データを紐付けて一元管理します。

    グローバル企業向けということもあり、各国の税法に準拠したデータ保存機能をアップデートしており、日本の電帳法についても最新要件を満たすよう継続対応しています。Concur Invoice(請求書管理)など関連製品を併用すれば、経費以外の証憑もまとめて電子保存できるエコシステムが構築可能です。

総じて、主要サービスはいずれも電子帳簿保存法に対応済みであり、スキャナ保存・電子取引データ保存の運用は可能です。

ただ細部を見ると、たとえば「事前承認申請の簡略化措置(※JIIMA認証ソフト利用時の税務署承認申請省略)」をいち早く取得したのはマネーフォワードやConcurであり、freeeや楽楽精算も追随して対応した経緯があります。

いずれのサービスを使う場合でも、自社の経理フローを電子対応に合わせて整備する必要はありますが、ツール側の機能は十分整っていると言えるでしょう。

外部サービスとの連携

経費精算システム選定では、会計ソフトや各種外部サービスとのデータ連携も重要です。

以下、主要サービスの連携状況や特徴を比較します。

  • 会計ソフトとの連携
    マネーフォワード クラウド経費は同社のクラウド会計との連携が最もスムーズですが、他社会計ソフトとも仕訳データ連携は可能です。他社製品との具体的な組み合わせでは、Boxil調査によれば「マネーフォワード会計 × マネーフォワード経費」「freee会計 × freee経費」のように同じベンダー同士の組み合わせが人気との結果が出ています。

    楽楽精算は対応範囲が広く、勘定奉行や弥生などオンプレミス含む主要会計ソフトに仕訳連携ができます。ジョブカン経費精算なども勘定奉行クラウドやfreee会計と繋がりやすい傾向があります。

    ConcurはSAP製ということでSAP ERPやOracle会計との連動実績が豊富ですが、他の日本製会計ソフトにも仕訳データをインポートすることは可能です。
  • 交通系ICカード連携・経路検索
    経費精算でニーズが高いのが電車バス代の清算です。

    マネーフォワードや楽楽精算ではICカードリーダー取り込みや経路検索サービス連携を備え、社員が自分のSuica/PASMOをかざすだけで乗車履歴を取り込んだり、乗換検索サービスから運賃を自動入力したりできます。freee経費精算も経路検索機能を提供しており、ICカード連携も可能です(別売のfreeeカードリーダーを使用)。

    Concur Expenseも日本市場向けに交通系ICカードの自動連携オプションを用意しており、国内出張費精算に対応しています。これら機能により、特に交通費の申請・チェック作業が格段に効率化されています。
  • クレジットカード・電子マネー連携
    マネーフォワード クラウド経費は法人クレジットカード明細の自動取得機能を備え、カード利用情報が経費明細として自動連携されます。

    freeeや楽楽精算、Concurも法人カード連携は標準機能で、カード会社の明細取り込みによって立替経費の入力漏れ防止やリアルタイム経費把握が可能です。加えて、電子マネーやQR決済の利用明細取り込みについては、マネーフォワードは独自に「マネーフォワード Pay for Business」といったビジネスカードサービスも展開し、経費精算との連動を図っています(例えば社員にプリペイドカードを配布し利用明細を自動集約する等)。

    ConcurはAirlineやホテル予約システム、Uberの領収書連携などグローバルの外部サービス連携(App Center経由)が豊富で、経費に関するあらゆるデータを集約できます。
  • その他周辺システムとの連携
    楽楽精算はワークフローの柔軟さから、社内稟議システムや勤怠システムと組み合わせて使われるケースもあります。また、freee経費精算はfreee人事労務と連携することで、精算額を給与に合算して支給するといったこともAPI連携で可能です。

    マネーフォワード クラウド経費は同社クラウド債務支払サービスと繋げば、経費精算データから銀行振込ファイルを自動生成し、一括振込まで完結できます。このように各サービスともエコシステム戦略を持っており、自社が既に利用中のシステムや今後導入予定のサービスとの相性も考慮すると良いでしょう。

その他の有力サービス

なお上記以外にも、経費精算システムには「ジョブカン経費精算」(安価でシンプルなクラウド経費、月額400円/ユーザー)、「TOKIUM経費精算」(旧Staple。領収書原本を預かり代行入力も行うサービス)、「バクラク経費精算」(LayerX社提供。AIによる自動仕訳や高い操作性が特徴)など多数の選択肢があります。

自社の規模や重視ポイントによってはこれらが適する場合もありますが、マネーフォワード クラウド経費、楽楽精算、freee経費、Concurの4つは機能・実績の面で代表格と言えます。

本記事ではマネーフォワードを中心に据えて比較しましたが、必要に応じて他サービスも含め総合的に比較検討してください。

電子帳簿保存法への具体的な対応内容

前述のとおり、マネーフォワード クラウド経費は電子帳簿保存法(電子取引データ保存・スキャナ保存・帳簿の電子保存)に対応しています。ここでは特に電子取引・スキャナ保存・帳簿保存の3区分ごとに、クラウド経費で可能な対応を整理します。

  • 電子取引データの保存
    2024年から電子メールやPDFで受領した請求書・領収書は紙に印刷しての保存が認められなくなりました。クラウド経費では、経費精算時にこれら電子データをそのまま添付ファイルとして保存でき、改ざん防止措置や検索機能も備えています。

    例えばメールで受け取ったPDF領収書を経費申請に添付すれば、日付・金額・取引先などの検索キーが自動登録されるため、税務調査の際も電子帳簿保存法の検索要件を満たした形で提示可能です。マネーフォワード クラウド経費自体がJIIMA認証を取得しているため、保存要件を個別にチェックする負担も軽減されます。
  • スキャナ保存(紙領収書の電子化)
    紙の領収書やレシートをスマホやスキャナーで電子データ化して保存する運用も、クラウド経費で実現できます。利用者はスマホアプリで領収書を撮影しアップロードするだけで、画像にタイムスタンプが付与されます。

    またクラウド経費では従業員が申請時にスキャナ保存の要件(解像度・カラー、タイムスタンプ期限など)を確認できる画面が表示され、ルールに沿ったスキャンが促されます。アップロード後の画像は原本相当として安全に保存され、紙原本は即時破棄して問題ありません(社内規程でスキャナ保存実施の旨を定めておく必要はあります)。承認済みの経費データと画像は関連付けられ、税務署から求められた際も画像と経費情報を紐づけて提出できます。

    なお、タイムスタンプについてはマネーフォワード側で一括検証機能も提供しており、改ざんがないことを社内チェックする仕組みも整っています。
  • 電子帳簿等保存(帳簿書類の電子保存)
    こちらは会計システムで作成する仕訳帳や総勘定元帳などを電子保存する区分で、経費精算システム自体の範疇を超えます。マネーフォワード クラウド経費は経費明細データの保存が中心であり、仕訳帳そのものの保存はクラウド会計ソフト側に委ねられています。

    同社のクラウド会計は電子帳簿保存法の電子帳簿ソフト法的要件認証を取得済みで、優良な電子帳簿(電子データでの帳簿保存による青色申告控除上乗せ)にも対応しています。したがって、経費精算から会計記帳までマネーフォワード製品で一貫すれば、帳簿も含めたフルデジタル保存体制を構築可能です。

    仮に会計ソフトが他社製でも、経費システム側は証憑保存まで担い、帳簿データは会計ソフトで電子保存するという役割分担で対応できます。

以上のように、マネーフォワード クラウド経費を活用すれば電子取引データと紙証憑の電子化保存を法律に則って行うことができます。改正電子帳簿保存法に対応するには、システム面の準備だけでなく社内規程の整備や運用ルールの周知も必要ですが、同サービス導入企業の多くがペーパーレス経理に成功していることからも、その有効性がうかがえます。

実際に、紙の領収書管理を廃止し経費精算を本社に集約した事例では「各拠点の経理作業がゼロになり付加価値業務に集中できた」という声もあります。

電子保存への対応は一朝一夕には進みませんが、マネーフォワード クラウド経費のようなツールを使うことでスムーズな移行が期待できます。

利用実績と導入事例

マネーフォワード クラウド経費の導入実績は、中小ベンチャー企業から上場企業まで幅広い層に及びます。その利用企業数は正確に公表されていませんが、前述の調査ではマネーフォワードの法人向けクラウドシリーズ全体で15万社に上る課金ユーザーが存在し、経費精算システム単体の市場シェアでも約17%を占めています。

競合の楽楽精算が累計導入社数18,000社(2024年9月時点)とされる中、マネーフォワードは後発ながら着実にシェアを伸ばしてきました。特に従業員50名以下の中小企業に強みがあり、「少人数なら低コストで使える」という点が受け入れられています。

一方で最近は500名以上の中堅企業や1000名規模の大企業での採用事例も増えており、サービス面でも大企業対応の強化が図られています。

具体的な導入企業の例としては、以下のようなケースがあります。

  • 業務効率化の事例(中堅規模)
    株式会社モルテン(スポーツ用品メーカー、約800名規模)は、マネーフォワード クラウド経費を導入し、全国の支店で発生する経費精算を本社経理部に集約しました。

    その結果、小口現金を使った精算を廃止して各拠点の経理作業月80時間分を削減し、より付加価値の高い業務に注力できるようになったと報告されています。紙の領収書管理からクラウド経費への移行で内部統制も強化されました。
  • 他システムから乗り換え事例(大企業)
    シャープファイナンス株式会社(金融業、600名規模)は、従来使っていた別の経費精算システムからクラウド経費にリプレースしました。

    複数に分散していた経費精算フローをマネーフォワードに一本化し、システム間の重複入力を解消。経費精算業務の効率化と新たな価値創出につなげたとされています。他社システムとの比較検討の結果、使い勝手とコスト面でクラウド経費が選ばれた例と言えます。
  • 紙文化からの脱却事例(自治体関連)
    JR東日本スポーツ株式会社(フィットネス事業等、JR東日本グループ)は、紙の申請書・現金精算による従来型プロセスからクラウド経費に切り替えました。

    現場からは「交通費精算がとても楽になった」と好評で、定期区間控除やICカード取込により申請者・経理担当双方の負担が軽減したとのことです。業種としては介護・フィットネスなど複数領域にまたがりますが、グループ各社で順次導入が進められています。
  • その他の業種例
    上記以外にも、飲食チェーン(株式会社福しん)での店舗経費精算効率化や、建設業(株式会社アイケーディ)での現場社員の立替精算廃止(経費精算と給与連携による現金ゼロ化)など、多彩な業種・業態での活用シーンが報告されています。

    マネーフォワード クラウド経費は業種別の特化機能こそありませんが、汎用的な経費項目とワークフロー設定でどのような業界にも対応できる柔軟性があります。

以上のように、マネーフォワード クラウド経費は「経費精算業務の効率化」と「ペーパーレス・DX推進」をキーワードに、多くの企業で導入効果を上げています。

中小企業では経理担当者の負担軽減やテレワーク推進大企業では内部統制やグループ全体の業務標準化など、それぞれの規模で導入目的は異なりますが、クラウド経費は幅広いニーズに応えられる汎用性を持つサービスと言えるでしょう。

まとめ

経費精算のクラウド化は、働き方の多様化や法規制の強化(電子帳簿保存法対応など)を背景に、もはや避けて通れない経理DXの重要テーマです。マネーフォワード クラウド経費は、その豊富な機能と手頃な価格帯で、多くの企業にとって魅力的な選択肢となっています。

メリットとして挙げたモバイル完結・OCR・ICカード連携による利便性向上や、会計ソフトとのスムーズな連携、そして法令対応の安心感は、経費精算業務の生産性を飛躍的に高めてくれるでしょう。一方で、電話サポートの非提供や高度機能利用時のコストなどデメリットもありますが、それらは他社サービスにも共通する課題だったり、運用工夫で補える面もあります。

他の代表的な経費精算ツールであるfreee経費精算楽楽精算Concurとも比較してみましたが、それぞれに強みがあります。

freeeは会計・人事労務まで一体で使いたい企業に適し、楽楽精算はカスタマイズ性とサポートの手厚さで安心感があります。Concurはグローバル対応や出張管理機能で群を抜いていますが、コスト面では大型案件向きです。ネーフォワード クラウド経費は国産クラウドならではの使いやすさと必要十分な機能を兼ね備え、中堅中小から大企業手前くらいの規模まで幅広くフィットするバランスの良いサービスと言えます。

経費精算ツールの導入を検討する企業の方は、自社の経費精算フローや課題を洗い出した上で、上記比較ポイント(価格・UI/UX・法令対応・連携)を参考に最適なサービスを選定してください。

本記事の内容が、2025年現在の最新情報として皆様の経理DX推進の一助になれば幸いです。

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