月次決算の期限
月次決算のスピードが重要であることは、
繰り返しお伝えしているので
ご理解いただけているのではないかと思います。
月次決算を素早く終わらせて、
組織全体として1ヵ月の活動をレビューすることを繰り返すことで、
PDCAサイクルを回していける「組織習慣」が養われます。
この1ヵ月レビューを数日後に実施するのと、
1ヵ月後に実施するのとでは、
会社としての目標の達成度が大きく変わってきますので、
経営者としては、1日でも早く月次決算を終わらせて、
1ヵ月の活動のレビューをしたいところです。
それでは、一般的にどのくらいのスケジュール感で、
月次決算を終わらせたらよいのでしょうか?
IPOを目指す会社の月次決算
月次決算のスケジュールを考えるうえで、
最初に意識したい期限としては、
「翌月10営業日」
あたりと言えるでしょうか。
その根拠としては、
IPOを目指す会社が求められる最低限の水準が、
これくらいのタイミングであるため、
マーケットで厳しい競争を勝ち抜いていくためには、
せめてIPOを目指す会社レベルのスピードは
実現しておくべきと考えるからです。
たとえば、2020年9月の月次決算だとすると、
今年のカレンダーでは10月14日(水)がちょうど10営業日となります。
曜日の関係もあると思いますが、
毎月の月次決算を、翌月の半ばまでには終わらせる、
といったイメージになるかと思います。
ビジネスの現場では、
上場会社や上場を目指す会社と競争していくことになりますので、
少なくとも、これらの会社に劣らないくらいのスピードを実現できるように、
経営者としても是非、意識をしてもらいたいと思っています。
月次決算の期限を決めるのは経営者の仕事
月次決算の「期限」を決めるのは
経営者の仕事といえるでしょう。
経営者が決めた期限が、
現場のスピード感になっていきますので、
月次決算の期限設定は経営者としての重要な仕事といえます。
これまで、本気で月次決算に取り組んでいない会社は、
まずは、先ほどの翌月10営業日を目標にスタートしても良いと思いますが、
取り組みが軌道にのり、この期限を達成することができたら、
今度はもっと早い期限に挑戦をしていただきたいと思います。
その場合の次の目標としては、
「翌月5営業日」
といったあたりでしょうか。
イメージとしては、月が終わって、
翌週中には月次決算の状況がまとまる感じです。
これくらい月次決算の早期化ができれば、
その前提として、とてもよい「組織習慣」が
出来上がっていることが想定されますので、
経営をしていても相当気持ちよく前に進めていけると思います。
留意点
但し、経営者として月次決算の期限を決める際に、
留意していいただきたい点があります。
経営者として「期限を決める」ということは重要なのですが、
「決めた期限を経理部や顧問税理士に伝えるだけでは実現は難しい」
という点があります。
なぜかというと、
月次決算は、経理や税理士だけの仕事ではなく、
全社が一丸となって取り組むべき業務だからです。
たとえば、他部署がきちんと期限を守ったうえで
必要な情報・データを経理へ提供しないと、
経理ではそれ以上手出しができず数字の作成はできません。
会計数値を早く作ろうと思えば、
会計数値を作るより前の工程の仕事のやり方自体を見直したり、
全社的な資料の作成・提出期限を決めて守っていかないと、
最終工程である会計数値作りは終わりません。
つまり、
月次決算のスピードを上げるには、
全社の協力が不可欠だということです。
そう考えると、
経営者として月次決算の期限を決めること以外に、
もう1つの仕事としては、
といえます。
会社によって社風はそれぞれですが、
経理的な仕事を後回しにするような社風があると、
なかなか月次決算も上手くいきません。
おそらくそのような会社は、
経営者自身がそのようなマインドを持っている可能性が高い気がします。
但し、経営者がそのようなマインドのままでは、
現場のマインドも変わりませんので、
経営者には是非、自らが率先して、
月次決算のスピードの大切さを現場へ発信いただきたいところです。
経営者の気持ち1つで、
月次決算のスピードが変わりますし、
それが、会社を変えるくらいの可能性を秘めていますので。