2024年の電子帳簿保存法改正により、電子取引で受け取った請求書・領収書の電子保存が全事業者に義務化されました。中小企業の経営者や経理担当者、IT導入担当者にとって、紙書類から電子管理への移行は避けられない課題です。
本記事では、その解決策として注目される「マネーフォワード クラウドBox」に焦点を当て、電子帳簿保存法対応の機能とメリット、使いやすさ、他サービスとの連携、セキュリティ対策、他社製品との比較、そして料金プランとコストパフォーマンスまで、2025年8月時点の最新情報に基づき包括的に解説します。
企業のバックオフィスDXを推進し、効率化と法令遵守を両立するためのポイントを押さえましょう。
電子帳簿保存法対応の具体的機能とメリット
マネーフォワード クラウドBoxは、電子帳簿保存法の要件を満たすクラウドストレージサービスです。
メールやWebで受領した請求書・領収書などの電子帳票を簡単にアップロードして保管でき、監査や税務調査に備えた適法な保存を実現します。具体的な対応機能として、以下が挙げられます。
- タイムスタンプの自動付与
アップロードされた電子証憑には認定タイムスタンプが自動付与され、データの真正性(原本性)を確保します。これにより、改ざん防止と法要件である「真実性の要件」クリアにつながります。 - 訂正・削除履歴の保存
クラウドBoxでは訂正や削除の履歴を保持する管理機能があり、万一データを修正・削除した場合でもその履歴が残ります。タイムスタンプとあわせて帳簿書類の信頼性を高める措置となっています。 - 充実した検索機能
電子帳簿保存法の「可視性の要件」を満たすため、取引先名・日付・金額といった項目で素早く帳票を検索可能です。索引簿を手作成する手間が不要になり、必要な書類をすぐに見つけられるメリットがあります。 - 電子取引データ専用の設計
クラウドBoxは電子取引データ保存に特化した単体サービスとして提供されており、会計ソフト未導入でも利用可能です。電子取引データの保存だけをまず手軽に始めたい企業にとって、法対応の第一歩を無料で踏み出せる点は大きな利点です。
これらの機能により、マネーフォワード クラウドBoxは電子帳簿保存法に完全対応した保存環境を実現しています。
結果として、2024年以降義務化された電子データ保存も安心して推進でき、ペーパーレス化による業務効率化や保管コスト削減といったメリットも享受できます。

利便性:シンプルで使いやすいユーザーインターフェース
システムの使いやすさは、現場への定着と日々の運用効率に直結します。
マネーフォワード クラウドBoxはシンプルな画面設計と直感的な操作性で、経理担当者はもちろんITに詳しくないスタッフでも迷わず使えるUIを備えています。
- ドラッグ&ドロップで簡単アップロード
ファイルの保存手順は、クラウドBox上で「アップロード」ボタンを押し、対象ファイルをドラッグ&ドロップするだけです。1度に最大50件までまとめてアップロードできるため、月末など多数の請求書を処理する際にも効率的です。 - 必要項目の入力支援
アップロード後、電子帳簿保存法対応のために「取引日」「取引金額」「取引先」を記録しますが、クラウドBoxにはAI-OCRによる自動読取機能も搭載されています。
読み取り精度は今後の改善に期待があるものの、入力項目が画面上で明確に指示されるため手動入力も迷わず行えます。複数ファイルの項目入力も一覧画面でまとめて処理可能で、手間を極力削減できます。 - ストレスのない操作感
実際に利用したユーザーからも「画面を見ただけで簡単に利用でき、操作にストレスがない」との評価がありました。アップロードから検索までの動作が軽快で、導入後すぐに効果を実感できるでしょう。
このように、クラウドBoxはUI/UX面の工夫によって、初めて電子証憑管理システムを使う企業でもスムーズに社内展開できます。操作が簡単で誰でも使いこなせるため、社内浸透が速く、複数担当者での書類共有・分担も円滑に行えます。
結果として、書類探しやファイル管理に費やす時間を大幅短縮し、本来注力すべき業務にリソースを振り向けられるでしょう。


他サービスとの連携機能による業務効率化
マネーフォワード クラウドBoxは、単体でも利用できますが、同社の他クラウドサービスと組み合わせることでさらなる効率化を発揮します。
マネーフォワード クラウドシリーズ(会計・請求書・経費など)とのシームレスな連携により、証憑の管理と会計処理が一元化され、バックオフィス業務を強力にサポートします。

- クラウド会計との連携
「マネーフォワード クラウド会計」と併用すれば、仕訳データと証憑画像をワン画面で並べて確認できます。クラウド会計側で登録した領収書や請求書の画像は自動でクラウドBoxに保存されるため、仕訳と証憑が紐付いた状態で保管されます。これにより、伝票の内容チェックが画面上で完結し、原本捜索の手間が不要になります。経理担当者は帳簿と書類を照合する作業を効率化でき、監査時の確認作業もスピーディになります。 - クラウド請求書との連携
「マネーフォワード クラウド請求書」で発行・送付した請求書データは、自動的にクラウドBoxに電子保存されます。メール送信や郵送代行した請求書の控えを自動連携で確実に保管できるため、送付漏れや保存忘れを防止できます。請求書発行から保存までワンストップで処理でき、売掛管理も安心です。 - デジタルインボイス対応
クラウドBoxはデジタルインボイス(電子請求書標準フォーマット)にも対応しており、Peppolなど標準形式の請求データ受信・保存が可能です。
アップロードした電子請求書から自動で仕訳を作成する機能も備わっており、請求書処理の負担を軽減します。これは2023年開始のインボイス制度にもマッチした機能で、請求書管理業務のさらなる効率化が期待できます。
以上のように、クラウドBoxはマネーフォワード製品内で完結するエコシステムの中核として機能します。各サービスとのデータ連携により入力・保存の重複を無くし、証憑管理と会計処理の一元化を実現media.invoice.ne.jp。結果として、ヒューマンエラーの削減や業務プロセス全体の最適化につながり、バックオフィス全体の生産性向上に貢献します。



セキュリティ対策:データ保護・アクセス管理・改ざん防止
重要な会計書類をクラウド上で保管するにあたり、セキュリティ対策が万全であることはサービス選定の決め手となります。マネーフォワード クラウドBoxは、多層的なセキュリティとアクセス制御により、法令遵守とデータ保全の両立を実現しています。
- 高いセキュリティ環境
マネーフォワードはクラウドサービス全体で高度なセキュリティ基準を採用しており、クラウドBoxもその例外ではありません。データは信頼性の高いクラウド環境に暗号化された形で安全に保管され、定期的なバックアップや耐障害性にも配慮されています。
仮にPCが故障・紛失してもクラウド上にデータがあるため情報消失のリスクも低減されます。 - アクセス権限の細かな設定
クラウドBoxでは組織内ユーザーに対し「クラウドBox管理者」などのロール権限を設定可能で、アクセス範囲や操作権限を細かくコントロールできます。例えば、閲覧のみ許可・アップロード権限付与・管理者権限などを設定することで、不要なデータ改変を防止しつつ業務で必要な人にはアクセスを提供できます。
複数人で無制限に利用できるメリットを享受しながらも、権限管理で情報漏洩リスクを抑制できる点は安心です。 - JIIMA認証取得
クラウドBoxおよび関連するマネーフォワード クラウド会計等のサービスは、電子帳簿保存法対応ソフトとして公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)の認証を取得済みです。
これはタイムスタンプ付与や改ざん防止措置、検索機能などが法的要件を満たしていることを第三者機関が認めた証拠であり、公的なお墨付きの安心感につながります。 - プライバシーとデータ保護
利用登録時の情報や保管データは厳重に管理され、マネーフォワードのプライバシーポリシーの下で適切に保護されます。通信の暗号化や不正アクセス防止策はもちろん、サービス運営企業としてもPマーク(プライバシーマーク)などを取得し個人情報保護に最大限注力している旨が示されています。
このように、クラウドBoxは機能面だけでなくセキュリティ面でも高水準であり、「安心して電子帳簿保存法対応ができる」サービスといえます。
法令対応に必要な真実性・可視性を確保しつつ、企業の大切な財務データを守るための仕組みが整っているため、中小企業から上場企業まで安心して導入できるでしょう。

他社製品との機能・価格比較(freee・楽楽電子保存・Dr.経費精算 等)
電子帳簿保存法対応のソリューションはクラウドBox以外にも複数存在します。主要な競合サービスであるfreee、楽楽電子保存(ラクラク電子保存)、Dr.経費精算と比較し、機能面・価格面の特徴を整理します。
- freee(フリー)
クラウド会計ソフト大手のfreeeは、会計ソフト内の「ファイルボックス」機能で領収書や請求書の電子保存に対応しています。
freee会計上でスマホ撮影したレシートを添付すると、自動でファイルボックスへ保存され、取引データとひも付けられます。AI-OCR解析により日付・金額・取引先を自動推測するため、手入力の手間も削減。また訂正・削除履歴の記録機能によりタイムスタンプ無しでも改ざん防止を実現しており(優良帳簿要件にも対応)、電子帳簿保存法を単体ソフトで満たす点が強みです。
価格面では、freeeは会計ソフト利用料(月額2千円台~)にファイル保存機能が含まれており、追加料金なしで利用可能です。ただしユーザー数や追加機能によって料金プランが上がるケースもあります。 - 楽楽電子保存
「楽楽精算」で知られるラクス社が提供する電子帳簿保存専用クラウドです。AI-OCRによる項目自動読み取りでファイル名入力や索引作成が不要、充実した検索機能で監査時も安心といった特徴を持ちます。操作性もシンプルで、ドラッグ&ドロップで保存でき3営業日程度で導入可能とされています。
一方、料金は初期費用5万円、月額17,000円(税抜)~とやや高額で、月間のアップロード件数上限に応じて変動します(rakurakudenshihozon.jprakurakudenshihozon.jp)。料金内にはAI-OCR利用料込みで、「楽楽明細」(電子請求書発行サービス)から受領したデータの保存分はカウント対象外といった配慮もあります。
2,000ユーザーまで登録可能で大企業にも対応できるスケーラビリティがあり、専任サポートによる導入支援など手厚いサービスも魅力ですが、中小企業にはコストハードルが高めと言えるでしょう。 - Dr.経費精算(現・TOKIUM経費精算)
経費精算業務に特化したクラウドサービスで、スマホ完結の領収書電子化を強みとします。領収書をスマホ撮影するだけで99.9%の精度でデータ化されるOCR機能や、人力含めた入力代行サービスも提供され、紙の領収書管理を大幅効率化できます。電子帳簿保存法のスキャナ保存要件(タイムスタンプ付与等)にも対応済みで、JIIMA認証も取得しています。会計ソフトとの連携も容易で、出力データを各種会計システムに取り込める互換性があります。
料金はユーザー課金制で1ユーザーあたり月額約980円(税抜)から利用可能で、人数に応じたコストになります(例:5名利用なら約月額4,900円~)。初期費用は不要でスモールスタートしやすい半面、利用人数が多くなると合計コストが増えていきます。また経費精算ワークフロー全体を効率化したい企業に向いており、単なる証憑保存以上の機能(申請・承認フロー等)を必要とする場合に選択肢となるでしょう。
以上をまとめると、マネーフォワード クラウドBoxは基本機能を提供しつつ、他のマネーフォワード製品と組み合わせて包括的に業務効率化を図れる点が秀逸です。
対してfreeeは会計ソフト一体型で追加費用なく使えますが会計機能込みの契約が前提、楽楽電子保存は高機能・サポート充実な反面コスト高、Dr.経費精算は経費処理特化で従量課金制という違いがあります。
それぞれ自社の規模・ニーズ・予算に応じて選択肢となりますが、「まずは低コストで電子取引データの保存だけ始めたい」のであればクラウドBoxは最適と言えるでしょう。

コスト面:料金プランとコストパフォーマンス
マネーフォワード全体のサービスプランとしては、他のクラウドサービス(会計・請求書・経費等)と組み合わせて利用する有料プランが用意されています。
中小企業向けには主に以下のプラン体系があります。
- ひとり法人プラン(目安:利用者1名)
月額2,480円(年払い時)から利用可能。クラウドBoxを含むバックオフィス11サービスが利用でき、ファイル保存件数1,000件までの制限があります。 - スモールビジネスプラン(目安:利用者3名まで)
月額4,480円(年払い時)。こちらもファイル保存件数1,000件までで、利用人数はクラウドBoxに関して無制限(会計等他サービスは3名まで)となります。 - ビジネスプラン(目安:4名以上の中小企業向け)
月額6,480円(年払い時)。ファイル保存件数無制限でクラウドBoxをフル活用でき、他の会計・経費等サービスも人数無制限で利用可能な最上位プランです。
※上記価格は税抜表示。年払いの場合の月額換算で記載しています。なお、51名以上の中堅~大企業向けプランは別途見積りとなります。

例えばビジネスプラン(月額約8千円)でクラウドBox容量無制限+会計や給与など幅広い機能を使える点を踏まえると、総合的なバックオフィス環境として割安と言えます。特に従業員50名以下の企業であれば月数千円で主要業務を網羅できるため、多機能性を考慮すると費用対効果は高いでしょう。
さらに1ヶ月間の無料トライアルも提供されており、初期導入時のハードルも低く設定されています。お試し期間中はビジネスプラン相当の機能が利用可能で、自社の業務フローに適合するか検証できます。初期費用0円と相まって、スモールスタートから拡張まで柔軟に対応できる料金体系となっています。

まとめ(結論)
マネーフォワード クラウドBoxは、中小企業の電子帳票管理に新常識をもたらすクラウドサービスです。
電子帳簿保存法の厳しい要件を満たすタイムスタンプ付与や検索機能を備え、使いやすいUIと他サービス連携によって日々の経理業務を効率化します。さらに高いセキュリティと権限管理でデータを守りながら、無料で容量無制限という優れたコストメリットまで提供しています。
他社製品と比較しても、クラウドBoxは「手軽さ」と「安心感」で際立っており、まず電子取引データの保存からペーパーレス化を進めたい企業にとって最適な選択肢となるでしょう。既にマネーフォワード クラウド会計や請求書をご利用中の方はもちろん、これからバックオフィスのデジタル化を検討する方も、クラウドBoxを活用することで法令対応と業務効率化を同時に実現できます。
2025年8月現在、電子取引データ保存義務化への対応は待ったなしの状況です。
「経理の手間をゼロへ!」を掲げるマネーフォワード クラウドBoxを導入し、経理業務の新しいスタンダードを取り入れてみてはいかがでしょうか。きっと、紙に頼った旧来のやり方には戻れないほどの利便性と安心感を得られるはずです。貴社のペーパーレス化とバックオフィス改革の一助となれば幸いです。
