経営サポートナビ 2025年7月号(Vol.38)

2025年、育児介護休業法等が改正され、企業に求められる対応が変わります。特に中小企業では、就業規則の見直しなど、事前に準備しておくべきことが多岐にわたります。

この記事では、2025年4月と10月に施行される改正のポイントと、中小企業が今から取り組むべき対応策を分かりやすく解説します。

目次

なぜ今、育児介護休業法が改正されるのか?

今回の法改正は、社員が仕事と育児・介護を両立しやすい環境を整えることを目的としています。

少子高齢化が進む日本において、優秀な人材の確保・定着は企業にとって不可欠です。柔軟な働き方を実現することは、企業の競争力向上にもつながります。

2025年4月施行の主な改正ポイント

1. 子の看護休暇の対象者と理由が拡大

  • 対象者の拡大: これまでの「小学校就学前の子」から「小学校3年生修了までの子」に拡大されます。
  • 取得理由の拡大: 病気や怪我だけでなく、学級閉鎖、予防接種、入学式なども取得理由として認められるようになります。
  • 除外規定の変更: これまで認められていた「勤続期間6ヶ月未満の従業員」の除外規定が撤廃されます。

2. 所定外労働の制限(残業免除)の対象が拡大

  • 残業免除の対象となる子の年齢が「3歳未満」から「小学校入学前」まで拡大されます。

3. 短時間勤務制度の代替措置にテレワークが追加

  • 3歳未満の子を持つ従業員が短時間勤務を希望する際、代替措置としてテレワークの導入が企業の努力義務となります。

4. 介護離職を防止するための措置が義務化

  • 介護が必要な家族がいる従業員に対し、企業は研修、相談体制の整備、事例の提供、利用促進の周知など、いずれかの措置を講じることが義務化されます。
  • また、「介護直面時」と「従業員が40歳となる前後1年間」に、個別の周知と利用意向の確認が義務づけられます。

2025年10月施行の主な改正ポイント

柔軟な働き方を実現するための措置が義務化

  • 3歳から小学校入学前の子がいる従業員: 時差出勤、時間単位のテレワーク、ベビーシッター費用負担、短時間勤務制度など、複数の両立支援制度から2つ以上の導入が義務化されます。
  • 3歳未満の子がいる従業員: 企業は3歳の誕生日の1ヶ月前までの1年間に、制度の個別周知と利用意向の確認を行うことが義務づけられます。

中小企業が今すぐ対応すべき5つのこと

  1. 自社に必要な措置と手続きの確認: 厚生労働省の資料などを参考に、自社の制度が法改正に合っているか確認しましょう。不明な点は専門家への相談がおすすめです。
  2. 就業規則や労使協定の見直し: 改正点に合わせて、就業規則や関連規定の変更が必要です。
  3. 補助金・助成金の申請前に対応: 「両立支援等助成金」など、助成金申請時には就業規則の提出が求められることがあります。法改正に則していない場合、不支給となる可能性があるため注意が必要です。
  4. 従業員への周知徹底: 社内説明会や社内報などを通じて、新しい制度について従業員に周知し、担当者を明確にしておきましょう。
  5. 専門家への相談: 厚生労働省の規定例はあくまで一例です。自社の状況に合わせた適切な就業規則を作成するためには、専門家(社会保険労務士など)に相談することをおすすめします。

まとめ

今回の法改正は、企業と従業員双方にとって、より良い働き方を考えるチャンスです。法改正の内容を正しく理解し、計画的に対応することで、優秀な人材の定着、ひいては企業価値の向上につながるでしょう。

制度の詳細は厚生労働省のウェブサイトをご確認いただくか、顧問の専門家にご相談ください。

【インフォグラフィック】2025年施行 育児・介護休業法改正のポイント

2025年 育児・介護休業法改正

中小企業が今すぐ備えるべきこと

なぜ今、法改正が重要なのか?

今回の法改正は、社員の「仕事と家庭の両立」を強力にサポートし、人材の確保・定着を目指すものです。これは、企業の持続的な成長に不可欠な戦略的投資と言えます。

改正施行のタイムライン

2025年4月1日 施行

  • 子の看護休暇の対象拡大
  • 残業免除の対象拡大
  • 介護離職防止措置の義務化

2025年10月1日 施行

  • 柔軟な働き方のための措置が義務化
  • 3歳未満の子への個別周知・意向確認

【2025年4月〜】主な改正ポイント

育児支援の拡充

子の看護休暇

対象が「小学校就学前」から「小学校3年生修了まで」に拡大。学級閉鎖や入学式なども対象になります。

残業免除

対象が「3歳未満」から「小学校入学前まで」に拡大されます。

テレワークの追加

3歳未満の子を持つ社員の短時間勤務の代替措置として、テレワークが努力義務に。

介護離職防止の強化

介護に直面する従業員へのサポートが義務化されます。以下のいずれかの措置を講じる必要があります。

さらに「介護直面時」「40歳前後」での個別周知・意向確認も義務となります。

【2025年10月〜】柔軟な働き方の実現

選択肢から2つ以上の導入が義務に!

3歳から小学校入学前の子を持つ従業員のために、以下の選択肢から2つ以上の制度を導入する必要があります。

中小企業が今すぐやるべき5つのこと

1

自社の現状確認

必要な措置と手続きをリストアップする

2

就業規則の見直し

法改正に合わせて規定を改定・新設する

3

助成金の確認

両立支援等助成金の活用を検討する

4

従業員への周知

説明会などで制度内容を丁寧に伝える

5

専門家への相談

社会保険労務士など専門家の助言を得る

法改正への対応は、より良い職場環境を築く絶好の機会です。

計画的に準備を進め、企業の成長につなげましょう。

その他トピックスおよび詳細

その他のトピックスや上記内容の詳細は以下でご確認くださいませ。

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