【税理士選び】年商1億円目前の飲食店が“攻めのDX”に踏み切るとき

【税理士選び】年商1億円目前の飲食店が“攻めのDX”に踏み切るとき

「毎晩 23 時にレジ締め、翌々週にならないと粗利が分からない」——このタイムラグ、あと何か月 耐えられますか?
年商1億円目前。客席は埋まり、人手も増え、仕入れ規模も膨らむ。数字が“後追い”になるたびに、あなたの判断は勘と経験へ逆戻りしてしまう──そんな壁にぶつかった飲食店こそ、クラウド会計×クラウドPOSによる“攻めのDX” へ踏み切るタイミングです。

本記事では、

  1. マネーフォワード導入で「昨日の粗利」が翌朝スマホに届くまでのロードマップ
  2. DXを失敗させない 飲食業に強い税理士の選び方と伴走モデル
  3. クラウドPOS(スマレジ等)連携で得られる資金繰り・補助金・人件費最適化のリアルな効果

を、実際の導入事例とシミュレーションを交えて解説します。

「数字の遅延」という見えないコストを払い続けるか、それとも“前日の事実”で意思決定できる経営へシフトするか——。

現状把握:数字が「月次」でしか見えないもどかしさ

  • 業態:レストラン・テイクアウト併用型
  • 年商:9,500万円前後(直近3期横ばい)
  • 従業員:正社員3名/アルバイト5名
  • 会計環境
    • Excelで日次売上を集計
    • 領収書は月末にまとめて税理士へ郵送
    • 給与計算は市販ソフトを店舗PCで単独運用
    • 資金繰り表は社長の頭の中
課題感(経営者の声)
「仕入れ原価と人件費が増えているのは肌感で分かるけど、数字は決算書が出るまで確信を持てない」
「資金調達や補助金を検討したいのに、試算表の提示が2か月遅れでは銀行に説明できない」
飲食業特有のインボイス対応や軽減税率も、すべて税理士任せ。自社内に知識が残らない」

問題点の整理

課題の根本には、以下のような問題がありました。

  • 記帳フローの問題: 紙のレシートを月に一度郵送し、税理士が手入力するプロセスでは、試算表の完成が大幅に遅れ、「実質四半期遅れ」の状態でした。
  • 売上・経費データの分断: Excelデータが店長ごとにバラバラに管理されており、原価率や人件費を含めたFL比率(※)をリアルタイムで把握できませんでした。
    • ※FL比率:売上高に対する食材費(Food)と人件費(Labor)の合計比率。飲食店の経営指標として重要。
  • 給与・勤怠管理の非効率: 給与計算ソフトが会計システムと連携しておらず、手動での仕訳入力が必要なため、人件費が月次決算に反映されるのが遅れていました。
  • 曖昧な資金繰り: 社長が各口座の残高をネットバンキングで個別に確認しており、借入返済や税金支払いを含めた中長期的な資金繰りの見通しが立てにくい状況でした。
  • 税理士との連携不足: 決算や申告は確実に行ってくれるものの、経営改善につながるDXの提案はなく、増収増益のための具体的な打ち手が後手に回っていました。
項目痛点事業インパクト
記帳フロー紙のレシート→月1郵送→税理士の手入力試算表が“実質四半期遅れ”
売上・経費データExcelが店長ごとに別ファイル原価率・FL比率をリアルタイムで把握不可
給与・勤怠他ソフト単独運用/手動仕訳人件費が月次決算に反映されるのが遅い
資金繰り・融資口座残高をネットバンキングで個別確認借入返済・税金納付の中長期シミュレーションが曖昧
税理士連携決算・申告は確実だが、DX提案なし増収増益の打ち手が後手に回る

改善ストーリー:マネーフォワードを軸に“毎日が月次決算”

これらの課題を解決するため、マネーフォワード クラウドシリーズを軸とした以下のDXを目指したいところです。

クラウド会計+クラウド給与へ一気に乗り換え

  • 店舗用iPadで売上データを即日API連携
  • POS・モバイルオーダーシステムとも自動連携し、多店舗展開時にも横展開可

※参考:【マネーフォワード連携】中小企業に最適なクラウドPOSレジ「スマレジ」と勤怠管理「スマレジ・タイムカード」の徹底解説

証憑は“撮るだけ”でAI仕訳

  • レシート・請求書はスマホ撮影→OCR→自動仕訳
  • 仕入れ先別・品目別原価率をボタン一つで確認

資金繰りダッシュボードの常時表示

  • 口座・カード・Airレジ残高をリアルタイム集約
  • 借入返済スケジュールを設定し、キャッシュアウトを自動予測

将来的には①:補助金・助成金の進捗を“案件管理”

  • 申請ステップをタスク管理に載せ、税理士・社内担当がコメントでやり取り

将来的には②:BIレポートで日次モニタリング

  • 日商/客数/客単価/FLコストをグラフで可視化
  • 週次ミーティングで店長・税理士・社長が同じ画面を共有し即決即実行
到達目標
①決算書を待たずに“毎朝”前日の粗利を確認
②銀行面談では試算表+キャッシュ予測を瞬時に提示
③補助金申請書類はクラウド上で自動転記8割

この改善をリードできる税理士の5条件

飲食店のDXを成功させるには、伴走してくれる税理士の存在が不可欠です。以下の5つの条件を満たす税理士を選びましょう。

条件具体的チェックポイント
① マネーフォワード導入実績導入社数30社以上/飲食業10社以上/POS連携経験あり
② 業界知見(飲食)FL比率・廃棄原価・深夜割増など飲食特有のKPIを語れる
③ 税理士本人の関与度面談・レポート説明に“必ず本人”が出席/Slack・Chatworkに常時参加
④ DXスキル+提案力POS・モバイルオーダー・勤怠クラウドを組み合わせた事例を提示できる
⑤ 資金調達・補助金のハンズオン事業再構築補助金・もの補助・コロナ融資など直近成功実績を数値で示せる

導入後6か月の効果イメージ

マネーフォワード導入と適切な税理士との連携により、以下のような効果が期待できます。

KPIBeforeAfter(6か月後)
試算表作成タイムラグ60〜90日まずは20日以内
次の目標は15日以内
原価率の誤差月次で±3pt週次で±0.5pt
月次会計工数(社内)店長×3h/週店長×30min/週
銀行借入枠3,000万円5,000万円(試算表提出スピードで評価アップ)

導入フロー(目安3か月)

  1. 0〜2週目:現行データ棚卸し
     ⇒取引先マスタ・POS設定・給与項目を洗い出し
  2. 3〜4週目:クラウド環境構築
     ⇒MF会計・給与・請求書をアカウント発行/API連携
  3. 5〜10週目:並行運用と仕訳チューニング
     ⇒旧Excel→新クラウドへ移行チェック/自動ルール学習
  4. 11〜12週目:運用マニュアル+社内研修
     ⇒店舗スタッフにスマホ撮影/勤怠打刻をレクチャー
  5. 13週目:完全切替&初回週次レビューダッシュボード設計のフェーズへ

まとめ:税理士選びでDXの成否が8割決まる

リアルタイムな経営判断を実現するためには、会計システムだけでなく、店舗の業務フロー全体を見据えた設計が重要です。マネーフォワードの導入はあくまでスタート地点。POSレジ、勤怠管理、さらには補助金申請のワークフローまで連携させ、「毎日が月次決算」と言える状態を作り上げることが目標です。

この設計図を描き、導入から運用まで伴走してくれる税理士こそが、DX成功の鍵を握ります。

  • 飲食業特有の経営課題を深く理解し、
  • クラウドサービスや関連ツールに精通しており、
  • 税理士自身が最前線でコミュニケーションをとってくれる専門家

を選ぶことが、最善の選択と言えるでしょう。

「数字の把握が60日遅れ」の状態から、「昨日の粗利が今日わかる」経営へ。その第一歩として、上記の5つの条件を満たす税理士への相談を検討してみてはいかがでしょうか。

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