賃上げは「コスト」ではなく「未来への投資」
最低賃金の継続的な引き上げや、優秀な人材確保に伴う人件費の増加は、企業経営における大きな課題です。これに対応し、企業が持続的に成長していくためには、単なるコスト増と捉えるのではなく、「生産性の向上」や「より良い雇用環境の整備」が欠かせません。
賃上げに前向きに取り組む企業を後押しするため、国は様々な支援策を用意しています。
本記事では、特に注目すべき各種助成金・補助金の支援策をまとめてご紹介します。
動画案内
支援策について、より詳しく知りたい方はこちらの動画も合わせてご覧ください。
業務改善助成金
事業場内で最も低い賃金（事業場内最低賃金）を引き上げた上で、生産性向上につながる設備投資や業務改善を行った場合に助成されます。賃上げと設備投資を同時に進めたい中小企業に最適な制度です。
| 項目 | 内容 |
| 助成額 | 30万円〜最大600万円 |
| 助成率 | 3/4〜4/5 |
＜対象経費の例＞
- 在庫管理の効率化: POSレジの導入
- 業務フローの改善: 専門家によるコンサルティング費用
- 顧客管理のデジタル化: 顧客管理システムの導入
キャリアアップ助成金
有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者などの非正規雇用労働者の正社員化や、処遇改善を行った事業主に対して助成されます。
| 項目 | 内容 |
| 対象 | 雇用保険適用事業所ごとに「キャリアアップ計画」を作成し、賃金規定の改定などを実施した事業主 |
| 支援内容 | （賃金規定等改定コースの例） 非正規労働者の基本給を3%以上増額改定した場合に助成金を交付 （例：3%以上4%未満の増額で4万円、6%以上の増額で7万円など） |
賃金アップを通じて、優秀な人材の定着・雇用安定化を図りたい事業者に有効です。
IT導入補助金
業務効率化やDX（デジタルトランスフォーメーション）推進のためのITツール導入を支援する制度です。
| 項目 | 内容 |
| 補助上限 | 最大450万円 |
| 補助率 | 1/2〜4/5 |
＜活用例＞ 会計ソフト、受発注システム、ECサイト構築など、幅広い分野で活用できます。
ものづくり補助金
革新的な新製品・サービスの開発や、生産プロセスを改善するための設備投資を支援する制度です。生産性向上や事業革新を狙う中小企業に特に適しています。
| 項目 | 内容 |
| 補助上限 | 最大4,000万円 |
| 補助率 | 1/2〜2/3 |
省力化投資補助金（一般型）
人手不足への対応として、省力化や自動化につながる設備・システムの導入を支援します。製造業・サービス業を問わず、幅広い業種で利用可能です。
| 項目 | 内容 |
| 補助上限 | 最大1億円 |
| 補助率 | 1/3〜2/3 |
その他の支援策例：人材育成・働き方改革
賃上げの土壌を作るため、人材育成や職場環境の改善を支援する助成金も活用できます。
| 支援策 | 目的・内容 |
| 人材開発支援助成金 | 職業訓練を実施した企業に対し、訓練経費や期間中の賃金の一部を助成し、人材育成を支援 |
| 働き方改革推進支援助成金 | 労働時間削減や年次有給休暇取得促進などに取り組む企業に対し、専門家の支援や設備導入経費を助成し、働き方改革を後押し |
※各助成金・補助金は公募時期や要件が年度によって変わります。最新の情報は必ず各公募要領等をご確認ください。
最後に
賃上げは従業員のモチベーション向上、優秀な人材の確保、そして企業の生産性向上という好循環を生み出す重要な経営戦略です。
助成金・補助金は、この前向きな取り組みを心強く後押ししてくれる支援策です。これらの制度を上手に活用し、経営の安定と従業員にとって働きやすい環境づくりにお役立てください。
