経営判断を後押しするために、今年“変わる”税制トピックをまとめました。
ガソリン税・消費税・事業承継税制――制度が大きく動くタイミングを逃さず、早めの対策を取りましょう。
目次
与党過半数割れで「103万円の壁」見直しが加速
- 参院選(7/20投開票)で与党が非改選を含めても過半数割れ
→ 多党協調が不可欠となり、次期税制改正では野党の要望が通りやすい構図に。 - 争点になる可能性が高い項目
- 103万円・130万円・150万円の壁の再設計
- 消費税率の引き下げ・一時凍結案
- 税収減を補う 富裕層課税強化 や 所得税控除の見直し
- 経営者への影響
- 年末調整・社会保険手続きのフロー変更に備え、社内システムや就業規則のアップデートを検討。
- パート・アルバイトのシフト設計を柔軟化し、人件費と福利厚生コストを最適化。
事業承継税制:活用企業は「売上1億円以上50億円未満」が最多
売上高区分 | 特例措置(贈与税)活用率 |
---|---|
1億円未満 | 5 % |
1億円以上 | 37 % |
5億円以上 | 22 % |
10億円以上 | 29 % |
50億円以上 | 4 % |
100億円以上 | 3 % |
- 中小企業庁検討会(7/10 公表) によると、愛知県が突出して高活用、次いで宮崎・石川・鹿児島・富山。
- 地域差の背景
- 地場金融機関と税理士会の連携度
- 支援事業者(M&A仲介・専門家派遣)の分布
- 今後の注目
- 特例承継計画の要件緩和や、後継者不在企業向けM&A支援税制への拡充が議論される見込み。
対策ヒント:2027年3月末(特例措置期限)までに承継計画を提出し、贈与タイミングを最短2年かけて設計するのが王道です。
「100億宣言」企業が1,419社──製造業が4割を占め成長加速
- 帝国データバンク調査(7/24)
- 年商10~100億円未満、約9.3万社のうち 宣言率1.40 %(70社に1社)。
- 30代以下社長の宣言率は平均の2倍超。
- 資本金・従業員規模別の傾向
- 資本金1億円以上で宣言率が急増。
- 従業員100~300名で最も高い達成意欲を示す。
- 経営者への示唆
- 宣言企業の成長施策(資金調達手法・DX投資・海外展開)をベンチマークし、同業他社の成功パターンを自社戦略に転用。
便利リンク:
- 100億企業成長ポータル → 宣言内容・KPI・課題を無料検索

ガソリン税暫定税率(25.1円)が半世紀ぶり廃止へ
- 与野党国対委員長、7/30 合意:年内廃止、目標日は 11/1。
- 財源減少は年1.5兆円 と試算され、道路特定財源の見直しや環境税新設がセットで議論へ。
- 企業インパクト
- 物流・製造・建設業は燃料コストが直撃 → 運賃交渉・仕入れ契約の再調整が急務。
- 全業種共通で物価スライド条項の確認を。
まとめ:制度が“動く年”にこそ、攻めと守りの両立を
- 与党少数化 により、税制は「変化前提」の時代へ。
- 事業承継税制 や 消費税議論 は、中小から大企業まで影響範囲が拡大。
- 成長企業の成功事例を積極的に学び、資本政策・人件費設計・設備投資を同時並行でアップデートしましょう。
次のアクション
- 顧問税理士・社労士と最新改正案の影響度を試算
- 補助金・公的支援制度 とのセット活用を検討
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FAQ
Q1. 令和8年度税制改正の決定スケジュールは?
→ 例年どおりなら 2025年12月に大綱、2026年3月に法案成立見込み。ただし連立交渉の行方で前後する可能性あり。
Q2. 事業承継税制の申請期限は延長される?
→ 現状は 2027年3月末まで。延長議論はあるものの確定情報は未発表。早めの計画策定が安全。
Q3. ガソリン税廃止で物流コストはどれくらい下がる?
→ 税率25.1円/L分が理論値。ただし元売り・小売の価格形成次第で実質値引き幅は縮小する見通し。