物価高×コロナ融資返済のダブルパンチ「経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)」で資金繰りを立て直す方法

新型コロナ対策で借りた実質無利子・無担保融資(いわゆる“ゼロゼロ融資”)の元本返済が本格化する2025年。そこへ追い打ちをかけるように物価高・人手不足が重なり、多くの中小企業が「資金繰りの崖」に直面しています。

こうした企業を救済するセーフティネットとして、2025年3月に新設されたのが「経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)」制度です。従来のコロナ対応型をリニューアルし、保証限度額2億8,000万円・保証料0.3%・最長15年返済という強力な支援パッケージで再スタートしました。

目次

経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)とは?

項目内容補足
保証限度額2億8,000万円既存の普通・無担保保証とは完全別枠
保証割合原則80%(責任共有保証)
特例:100%保証も可
既往の保証付き融資を借換える場合など
保証料率0.3%
(国の補助前は 0.8〜1.0%)
料率は全国一律
返済期間最長15年据置期間 最長3年
対象コロナ融資の過大債務+物価高・人手不足等で業況が悪化し、再生計画を策定する中小企業

ポイント

  • 別枠のため既存融資とは独立して新規調達が可能
  • 既往の保証付き債務を100%保証で借換えすれば、実質的にリスケ+追加資金調達が同時に実現

制度を使うメリット

資金繰りの安定化

  • コロナ融資返済分を借換えて返済負担を平準化
  • 運転資金・成長投資資金も同時に確保

再生計画に金融機関がコミット

  • 経営サポート会議が必須のため、複数行との調整がスムーズ
  • モニタリング体制が整い、計画破綻リスクを低減

低コスト

  • 保証料0.3%は通常保証の約1/3~1/2
  • 100%保証なら金融機関は貸倒リスクゼロのため金利交渉も有利

利用までの7ステップ

  1. 相談受付
    • 地元の信用保証協会またはメインバンクへ
  2. 経営改善計画の策定
    • 中小企業活性化協議会や405事業など専門家支援を活用
  3. 金融機関との支援策検討
    • 新規融資・借換条件・リスケ案を整理
  4. 債権者調整(経営サポート会議)
    • 参加金融機関・保証協会で合意形成
  5. 計画合意
    • 融資実行・保証申込の最終承認を得る
  6. 保証審査・融資実行
    • 保証協会による審査後、金融機関から資金受領
  7. 計画実行&モニタリング
    • 毎年1回、進捗報告を行い計画をアップデート

申請のコツと注意点

  • 早期相談が鉄則
    コロナ融資の据置期間終了後に資金ショートが顕在化してからでは遅い。税理士・金融機関とともにキャッシュフロー予測を作り、6か月前には動き出す。
  • “実効性ある計画”が鍵
    売上予測が甘い、固定費削減策が曖昧など実現性の乏しい計画はNG。第三者の専門家レビューを入れ、PDCAを回せるKPIを設定する。
  • 100%保証の適用条件を見極める
    既往保証付き融資の範囲内の額で借換える場合のみ対象。追加資金を同時に借りる場合は80%保証になる点に留意。
  • 私的整理との併用
    返済猶予(リスケ)だけでは抜本再生が難しい場合、中小企業活性化協議会の「プレ再生支援スキーム」と合わせて債務免除を検討する手もある。

よくある質問(FAQ)

QA
事業規模が小さくても利用できる?保証限度額の範囲内であれば、個人事業主や小規模企業でも利用可能。
セーフティネット5号からの借換えだけでも対象?対象5号保証→本制度の100%保証へ借換え可。ただし既往保証付き融資の範囲内。
保証料0.3%はいつまで?2025年度補正予算で措置。今後の補助方針は未定のため、早期活用が無難。
信用保証協会の審査期間は?通常1〜2週間。再生計画の内容次第で追加資料を求められる場合あり。

まとめ──「崖」ではなく「跳躍台」に変えるチャンス

コロナ融資の元本返済が始まる企業にとって、2025年は試練の年です。しかし経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)を活用すれば、返済負担の平準化と追加資金確保を両立しながら、金融機関と一体となって経営再建に取り組めます。

ポイントは“相談の早さ”“リアリティある再生計画”です。

「資金繰りの壁」を「成長への跳躍台」に変えるためにも、まずはメインバンクまたは信用保証協会に相談し、専門家の力を借りながら一歩を踏み出しましょう。

ご相談はお気軽に!

制度には細かな適用条件があります。自社に最適なスキーム選定や再生計画づくりについては、専門家(税理士・中小企業診断士・金融機関)へ早めにお問い合わせください。

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